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「板情報」を想像する相場観で勝てる裁量トレーダーに|波のゆくさきΣArmada氏インタビュー

※この記事はアフィリエイト広告を利用しています

アルマダさんといえば、自動売買を思い浮かべる人も多いかもしれません。ところが本人に話を聞くと、実際に多くの資金を投じているのは裁量トレードであり、収益の柱もまた裁量にあるといいます。

そんなアルマダさんが裁量トレードで重視しているのが、FXでは直接確認できない「板情報」を想像する相場観です。市場参加者がどのような意図で注文を出し、どこでポジションを抱え、思惑と逆方向に進む値動きにどう苦しんでいるのか──。このような“見えない心理の重なり”を読み解くことこそが、アルマダさんの裁量トレードを支える根幹となっています。

聞き手:鹿内武蔵
FX雑誌『外国為替』vol.6より再構成/インタビュー日:2023年7月19日

 

波のゆくさきΣArmada氏プロフィール

専業投資家歴7年目、相場歴8年(バイナリーオプション5年、FX3年)。グローバルマクロ分析、統計学、データ分析、システムトレード設計を行う。裁量トレードと自動売買をどちらも行うが、資金配分が多いのは前者、人に教えやすく多くの人が結果を出しやすいのは後者と語る。

最初の自動売買は失敗だらけだった

─アルマダさんは裁量トレードと自動売買を併用されていますよね。どのように使い分けているのでしょうか。

自動売買は、同じルールを淡々と24時間繰り返せる点が最大の強みです。その特性を生かす目的で使っています。一方、チャートを眺めていると「言葉で言い表せない不穏な動きをしている」と感じることがあるんです。これは機械では判断できない領域で、裁量トレードの出番だと考えています。

─アルマダさんは自動売買と裁量トレードを初心者に教える機会もあると思いますが、その際どんなアドバイスをされていますか?

まず、それぞれに異なる良さがあることを理解してもらいます。初心者に多い失敗が、自動売買なのに裁量を入れて半自動でトレードをしてしまうパターンです。その相場に合った設定をしっかりしていれば利益は出るはずなので、自動売買と裁量トレードは分けて行った方が効率が良いと思っています。最初は気になって自動売買を「放っておく」ことができず、目先の勝ち負けを追いかけてしまうこともありますが、練習だと思って自動売買に任せることに慣れてもらいます。

─そのようなトレードスタイルはどのように確立されたのですか。

裁量では、ライントレードを参考にして売買をするようになってから、テクニカルだけで勝てるようになりました。一方で自動売買を始めたのは、バイナリーオプションをしていたときに「自動でエントリーできたら良いのに」とロマンを抱いたのがきっかけです。しかし、一昔前のバイナリーオプションの世界では、FX以上に「自動売買では勝てない」といわれていました。バイナリーオプションは取引ができるようになってから歴史が浅かったので、自動売買をする人も少なく、敬遠する人が多かったんです。

─実際に自動売買を導入して、結果はどうなりましたか。

当時、裁量で勝ち始めていたころだったのにもかかわらず、自動売買を取り入れてから大きな損失が出ました。自動売買について今のように教えてくれる人はおらず、独学だったのでたくさん失敗したんです。

─はじめての失敗はどんなケースだったのでしょうか。

振り返って僕が失敗だったと感じているのは、バックテストの期間を約3か月に設定したことですね。短い期間のテストに過ぎないのに、成績が良いと判断して100万円をほぼ使いました。しかしその自動売買には、高値や安値を更新した際のラインや範囲が後から書き換えられるリペイントと、過去の相場に過剰最適化されたカーブ・フィッティングが組み込まれていました。

リペイントは、後から見ると勝っているように見えるため注意が必要なツールで、カーブ・フィッティングも、過去の相場とこれからの相場が一致するとは限らないので初心者が使いこなすのは大変難しいんです。

実際に購入した自動売買のツールを使い始めると、エントリー数がかなり多いことに違和感を覚えました。そして、ある朝に100万円入金したところ、昼前に70万円を切っていて、焦って自動売買の運用を止めたんです。当時はリペイントとカーブ・フィッティングが原因だと分からず、一人で調べて何か月も考えてやっと負けた理由を突き止めました。だからこそ、今僕が発信していることは、全部自分で転んで覚えたことばかりです。

為替の“板”を想像し、SNSを武器に勝つ

─裁量トレードで勝てるようになったポイントを教えてください。

チャートを見る際、市場参加者がどんなポジションを持っているかを常に意識しています。今持っているポジション、これから入るポジション、それぞれのポジションの重さなどがどのような比重で動いているのかを考えます。為替は株のように板情報が見えないので、想像するしかありません。だからこそ、板情報を想定できなかった人たちがミスをします。僕はその人たちのミスを拾うようになって勝率が上がりました。

─エントリーする際は、テクニカルとファンダメンタルズはどちらを重視していますか?

どちらにも対応できるようにしています。テクニカルに依存していそうなチャートが形成された際、ニュースなどを見ていないテクニカル勢がファンダメンタルズの動きによって負けることがありますよね。そんなとき、テクニカルだけに依存したトレーダーは藁にもすがる思いでニュースをチェックし、ファンダメンタルズを初心者の知識でかじってポジションを持ちます。仮にファンダメンタルズは上目線、テクニカルトレーダーが下目線と判断していたとすると、値動きが重くなる。僕はここに値動きと思惑に乖離が発生していると判断して注目するようにしているんです。

─世界中が注目している米雇用統計みたいな最重要イベントはどうですか。

米国雇用統計が発表されたタイミングでは先述したやり方は通用しない場合もあります。そもそも、雇用統計の結果は経済の先行きを見るための数字でしかないため、発表10分後の値動きに着目するのではなく、何か月か先を見据えるものです。だから短時間で買って売るような指標ではないはず……。しかし、実際は雇用統計発表前から相場参加者が結果を予想して動きます。また、あまりにも多くのトレーダーがさまざまな思いを持って参加するので先を読めません。

─雇用統計はボラティリティが大きくなるので、ここぞとばかりに初心者層も増えますよね。

はい。僕が最も苦手なのが、次の行動が読めない初心者層です。逆に僕が得意とするのは、中堅者層が持っているポジションが焼かれている相場です。中堅者層がチャートを見て「次の値動きは予想通りで堅いだろう」と読んだ相場がその逆を行くと、危機感を抱いて損切りし始め、止まらないトレンドが発生します。この心理を読めると勝率はかなり高くなると思います。

─トレーダーの心理やポジションはどんなツール、情報を使って判断しているのでしょう?

以前は、OANDAのインジケーターのオーダーブックで偏りを確認していましたが、今はSNSを見ています。迷信のようによくいわれる「ドル円は上がると思ったら下がる。下がると思ったら上がる」これはポジションの分布を考えれば筋が通る話です。

─昨年のドル円相場は151円まで円安になり、その後127円台まで落ちましたが、当時もSNSを見ていましたか?(編注:インタビュー日2023年7月19日)

もちろんです。昨年127円台になったとき、SNSでは「ここが押し目になって上を目指すのか」、または「さらに下に行くのか」と予想している人が多かったんです。しかし、ドル円は本来ボラティリティが大きい銘柄ではありません。一昨年までの相場だと10円単位で値幅が動くと予想する人は少なかったのですが、昨年は「120円まで行く」「150円を目指す」などの声がたくさんあり、僕は違和感を覚えました。週足で見ると、127円から135円ぐらいまで約4~5週間レンジを形成していたからです。ところが、SNSで呟くトレーダーは大きな値幅を予想していました。そうなると、先ほど述べた迷信のような状態になります。

─ドル円の話ですね。上がると思ったら下がる。その逆も然りで。

また、よく見たのは直近の高値または安値をブレイクしたため、ブレイクした方向にポジションを持ったものの、トレンドが発生しないケース。多くの人が動くと思っているからこそ、値動きが重くなってしまうと僕は考えています。そして、値動きがあまりにも狭くなると、つまらない相場と思いポジションを決済するトレーダーが増加します。すると、値動きが軽くなり、トレンドが発生しやすくなるんです。

誰もが経験したことがあると思いますが、動かないと思ったころに動き出すケースはこの原理だと思っています。つまり、上がると思ったら下がる、下がると思ったら上がる、みんなが動くと思ったら動かない、動かないと思ったら動く。これを知って惑わされず冷静な目を持てるようになると勝率は変わると思います。

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追い上げ・追い下げ、ダマシを逆手に取る

─アルマダさんが自身のSNSで教えている「これだけ動いたら反転するだろうを崩す『追い上げ』『追い下げ』」について教えてください。

ドル円が100pips以上動いている日に「そろそろ反転するだろう」と考えたり、ダブルトップを発見して上昇トレンドがそろそろ終わると予想したりすることはありますよね。しかし、下がりきらずレンジを形成して値動きがもたつくことも少なくありません。そのレンジ相場には予想通りにいかず悩んでいる人たちがたくさんいるということです。レンジ相場が続くと、耐えられなくなった人たちがショートを手放し、値動きは上を目指します。

僕は値動きがグズついていると感じたら、ラインを突破する前にロングポジションを持ち、上昇し始めたら利食いします。逆に下がった場合は▲で損切りすれば良いのでリスクリワードは抑えられます。(編注:図①参照)

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source: FX雑誌『外国為替』

─次に「押し目崩し」ですね。

テクニカルトレーダーは押し目を探して、そこでポジションを持つ人が多いと思います。押し目崩しはそういう「ここで上がる」と考えた人たちの予想を裏切り、反転したときの波に乗ることです。上昇トレンド(または下降トレンド)が強ければ強いほど有効性が高くなります。

図②のようなチャートが形成されている相場では、ロング勢が直近の高値・安値で引いたラインを目安にしているので、上昇幅と同じぐらい下がることがあります。

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source: FX雑誌『外国為替』

─ここでも値動きのグズつきが重要ですか。

そうです。さらに、環境認識をして大きな時間足でラインを確認します。もし、長めの時間足で500pipsほど上がり、上値の重さを確認した場合、僕は「押し目が100pipsぐらいある」と考えます。つまり、長い目で見られる人は大体同じような考えをするので、図②の■までは下がるということ。そこの値幅を狙います。短い足で見ているとこれに気づけないので、●を押し目だと思って波に乗ろうとして崩されてしまいます。

ただし、これは上値が重い場合のみ有効で、上昇トレンドが継続することもあるので判断には注意が必要です。「戻り目崩し」も考え方は一緒で、上昇トレンドの逆だと考えてください。どちらにせよ、ラインに反応してレンジを見てから判断すれば良いので、焦ってエントリーする方法ではありません。

─欲張りですみませんが、アルマダさんがSNSに投稿していた「安易にあそこのライン越えたらブレイクだと思うものを崩し戻す『乗せ落とし』『掬い上げ』」についてもご教授ください。

レンジが長く続いた場合、上下どちらかのラインをブレイクしたらその方向についていくトレーダーが多いと思います。しかし、ブレイクしたと見せかけてブレイクしきれず、再び値動きが重くなり価格を戻すという相場を経験したトレーダーは多いのではないでしょうか。

「掬い上げ」の手法では、図③の■のラインを突破し、その後さらにレンジを形成したのであれば★でエントリーします。「乗せ落とし」はこの逆です。ファンダメンタルズを考えて動く要因がない限り強い方向感は出にくいと考えた方が良いと思います。

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source: FX雑誌『外国為替』

─ありがとうございました。最後に、初心者へのアドバイスをお願いします。裁量トレードを行う上で相場観を身につけるために、初心者は何を取り組んだらいいかを教えてください。

デモや最低ロットでも良いのでトレードをやってみて、騙されてみると良いと思います。騙されて初めて狩られる気持ちが分かるので、次は自分が狩る戦法を取れば良いのです。教科書通りのことを一通りしてみるのも大事で、やっていくうちにパターンを覚えられるはずです。

トレードで騙されている人たちも適当にエントリーしているわけではありません。誰もが「ここ美味しいな」と勝てる箇所を必死に探しています。それでもチャートに惑わされてしまう。騙す側に行きたいのであれば、一見すると教科書通りでも、その後予想に反する値動きをしていたら狩りに出る時間と認識することです。ラインに触れた後のレンジの動きをしっかり見て、冷静にトレードして勝者となってください。

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