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天才投資家バフェットも失敗する。名言「予測が難ければ、忘れて進め」の真意とは?=俣野成敏

天才投資家のバフェット氏は「必要なリターンなら、専門家でなくても出せる」と言います。さらに「予測が難しければ、忘れて次へ進め」とも。いったいどういうことでしょうか?(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

【関連】天才投資家バフェットが警鐘。なぜ日本人は収入が途絶えた老後から投資をするのか?=俣野成敏

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年11月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
ビジネス書著者、投資家、ビジネスオーナー。30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、自らの投資経験からマネーリテラシーの向上が不可欠と考え、啓蒙活動にも尽力している。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが11万部に。著作累計は45万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

プロには勝てない。そこそこを狙う兼業投資家ができることは?

1. 我々は投資とどのように向き合えばいいのか?

今回は、「名言に学ぶシリーズ」の続編をお送りします。

本特集は、名言の中に秘められた先人の知恵を借りつつも、彼らと私たちの間に横たわるギャップに目を向けることで、名言を鵜呑みにすることなく、そのエッセンスを取り入れられるようになることを目的としています。これ以前の名言につきましては、バックナンバーをご覧いただければと思います。

世の中には、「投資で大金を得たい」という人が数多くいます。「どの銘柄を買えばいいですか?」というのは、私もしばしば受ける質問です。これが、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏であれば、私の比ではないでしょう。

だからこそ、バフェット氏の「必要なリターンなら、専門家でなくても出せる」という言葉が、胸に響いてくるのです。

【必要なリターンを得るのは、投資の専門家でなくてもできる】

それでは、今回も引き続き、世界3大投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏の名言を紐解いていくことにしましょう。

解説する名言はこちらです。

《名言ピックアップ その1》

満足のいく投資のリターンを得るために、あなたが専門家である必要はありません。

ただし、あなたが専門家でないのなら、自分の限界を悟り、そこそこの結果を得るためのたしかな道を進むべきです。

短期的な儲け話があったら、即座に「NO」と答えなさい

出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)

こちらの名言は、バフェット氏が毎年、株主に宛てて書いている「バフェットからの手紙」の中から抜粋したものです(『カリスマ投資家の教え』より)。手紙の内容は奥深く、また株主への愛情に満ちあふれたものになっています。

もともと、投資とは自由市場ですから、基本的に誰でも参加が可能です。「プロとアマが同じ土俵で戦っている」というのが投資の世界です。

しかし、たとえばスポーツの場合だと、こうはいかないでしょう。プロとアマの世界は明確に分かれていますし、アマチュアの人がプロに勝てることは、ほとんどありません。それは、経験と練習量の違いです。

つまり、プロとアマでは、投じられる時間が圧倒的に違うのです。

Next: プロに真っ向勝負を仕掛けてはいけない。兼業投資家ができることは?



プロに真っ向勝負を仕掛けてはいけない

書籍『カリスマ投資家の教え』の中に、同書の著者・川上穣(かわかみじょう)氏が、バフェット氏唯一の公認自伝『スノーボール ウォーレン・バフェット伝(改訂新版)』(アリス・シュローダー著、2014年、日本経済新聞出版社)の作者に出会った時のエピソードが書かれています。

川上氏が、バフェット氏について尋ねたところ、作者のシュローダー氏は、時にこわばったような表情で、このように答えたと言います。

バフェット氏は、朝から晩まで投資のことだけを考え、計り知れない情熱と集中力でもって、市場に対峙している。多くの投資家は、彼のこの凄みがわかっていないのだ」と。

投資に参加する人は、こういう人と同じ土俵で戦っているのだということを、知っておかなくてはなりません。

投資の場合、「お金を投じる」という行為は、プロもアマも同じです。基本的な操作も難しくはないため、誰でもできるという錯覚を覚えます。

しかし実際は、ここでも投じられる時間と経験知がモノを言います。ですからアマは、プロと同じ方法を踏襲するだけでは勝てません

バフェット氏は、名言を通じて、このことを株主に伝えようとしたのです。

兼業投資家にできることは2つだけ

では、投資のプロではない、いわば兼業投資家である私たちは、どうしたらいいのでしょうか?

それに対するバフェット氏の答えが、「自分の限界を悟り、そこそこの結果を得るためのたしかな道を進むべき」ことと、「短期的な儲け話があったら、即座に『NO』と答える」ことの2つです。

元来、プロの投資家と兼業投資家では、取れるリスクの大きさが違います。そんな私たちでも“そこそこ”の結果を得ることだったら可能だ、というわけです。

「素人はインデックス投資信託だけでいい」

バフェット氏は、これまで度々、株主への手紙の中で、「普通の人はS&P500米株価指数に連動するインデックス投資信託でいい」と発言してきました。

それが正しいことを証明するために、氏は2008年から2017年まで、10年という長い期間をかけて、「ヘッジファンドのアクティブファンドとインデックス投信のどちらの成績が上回るか?」という実験を行いました。

結果は、インデックス投信の圧勝。ヘッジファンドは、高い手数料を上回るパフォーマンスを上げることができませんでした。
※参考:バフェット氏の最新助言 冷静でいれば暴落は好機 – 日本経済新聞(2018年3月12日配信)

結局のところ、プロを自認する人たちでさえ、市場の動きを予測するのは難しいのです。

Next: 「予測が難しければ、忘れて次へ進め」が意味するものとは?



「そこそこ」を稼ぐにも準備が必要

だったら、「そこそこの結果でいいから」というので、銘柄選びを適当にしてもいいのかというと、そういうわけではありません。

“そこそこ”とは、あくまでも「ハイリスク・ハイリターンを狙わない」くらいの意味でしかないからです。

そこそこと言えるようになるためには、前もって、自分の資産計画をもとに「これくらいは欲しい」という利回りを算出しておく必要があります。

「どの銘柄がいいのか」は、その後の話です。

要は、「自分にとって必要最低限の利回りは何%なのか?」がわかっていないと、何が“そこそこ”なのかもわからない、ということなのです。

【「予測が難しければ、忘れて次へ進め」が意味するものとは?】

それでは、次の名言はこちらです。

《名言ピックアップ その2》

あなたが投資を検討している資産に対して、将来の収益を予測するのが難しければ、忘れて次に進みなさい

すべての投資の可能性について予測のできる人間なんてどこにもいません。

全知全能である必要はないのです。

出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)

これまでにも度々、バフェット氏が「わからないものに投資をしない」ことを信条にしている、とお話ししてきましたが、ここでもその原則が貫かれています。

もともと、予測が簡単な銘柄などありません。けれど、コツはいくつかあり、その1つが「長期的目線を持つ」ということです。

市場では、需要と供給に応じて、価格が常に上下を繰り返しています。この価格の変動幅のことを、ボラティリティと言います。まず、インターネットなどで株価や為替の変動図を検索し、「1週間」「1ヶ月」と短期に区切ってみてください。その後で、これを「1年」「5年」と選択範囲を長くすると、同じ銘柄であっても、波が穏やかになったように見えます。ここから、「長期目線から投資を検討することで、価格差はある程度、許容できる」ことがわかります。

このように、投資とは基本的に時間軸を長くすることで、予測精度を上げることが可能となります。長い間にプラスとマイナスが相殺されるため、予測がしやすくなる、というわけです。

ですから、「長期目線を持ってしても、将来の予測が立てられない」場合、その銘柄はすでに投資対象から外れていることを意味します。

Next: バフェットも間違える? アップル・アマゾンへの投資に踏み切ったワケ



バフェットだって間違える

事例を挙げましょう。

バフェット氏は2018年の7-9月期に、米ソフトウェア大手のオラクル株を21億ドル相当で購入しました。しかし同年10-12月期には早々に手を引き、全額売却しています。

長期投資を基本とする氏にしては珍しいことですが、CNBC放送のインタビューに対して、「買い始めた後も、同社のビジネスを理解していないと感じたから」だと答えています(ブルームバーグWeb版、2019年2月26日)。

バフェット氏がわずか数ヶ月でオラクルから撤退したのは、「その前に購入したIBMの教訓から得たもの」だということです。

氏は、50年以上に渡ってIBMの年次報告書を読んできた末に、ようやく2011年に同社の株式を保有し、その7年後には全額を手放しています。

IBMは、創業から100年を越すコンピューターサービスの老舗ですが、変化の激しいIT業界にあって、いまだに次の柱となる事業を育成できていません。

オラクルも、クラウド企業への転換の最中ですが、それがどれくらい進んでいるのかは、開示情報が少ないために、大手銀のアナリストですら実態をつかみ切れていない、と報道されています。

バフェットが動けば市場が動く

しかし、バフェット氏が投資をしたことによって、市場では一時期、オラクルに対する楽観論が広がりました(ブルームバーグWeb版、2019年2月27日)。

こうしたことも、異例の早期撤退につながったのかもしれません。

氏のように、世の中へのインパクトが大きい人は、自分の選択が、多くの人にどのような影響を与えるのかまで考慮しければならないわけです。

ついにアップル・アマゾンなど「IT企業」にも投資へ

その点、同じIT企業でも、最近、投資を始めたアップルアマゾンはBtoC(Business to Consumer:消費者向けビジネス)を基本としており、どちらも強力なブランドを築いています。

「需要がわかりやすい」という点において、「わかるものに投資をする」という、バフェット氏の原則にも則っています。

世間で「割高だ」と言われるこれらの投資も、氏にとってはマイルールに従って判断した結果なのでしょう。

Next: 「失敗を恐れず進め」素人は株価予想なんかしなくていい?



失敗を恐れず進め

実際は、すべてを見通せることなど、ほぼありません。たいていは、はっきりとは見通せない状況の中で、判断を下していくのが普通です。

結局のところ、人生も投資も持久戦ですから、紆余曲折があって当たり前です。途中でどのようなハプニングがあろうとも、最終的に目指すゴールにたどり着きさえすればいいわけです。

名言の中にある「忘れて次に進みなさい」に込められた意味とは、「失敗を恐れることなく進め」という、氏からのメッセージだと言えるのではないでしょうか。

2. 世界的な投資家は、「株価を予想していない」

世の中の多くの人が、「きっとバフェット氏は、誰も知らない特別な方法で投資を行っているに違いない」と考えているのではないでしょうか。

実のところ、バフェット氏は特別な方法など用いてはいないでしょう。むしろ、誰もが知っていながら、やっていないことを愚直にやり続けているのが、氏の凄いところです。

だったら、誰もやっていなくて、氏が愚直にやり続けていることとは一体、何でしょうか?――

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購入した銘柄の値上がりを念じているようでは、投資とは言えない!?

数字を眺めていても、そこから結果は生まれてこない

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2019年12月
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第3回:(Vol.154)ブロックチェーン最新事情(12月21日配信)

2020年1月
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第2回:(Vol.156)賢人の名言から学ぶ12(1月11日配信)
第3回:(Vol.157)金融AIはどこへ向かっている?(1月21日配信)

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俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2019年11月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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