上に行くのか下にいくのか、ハッキリしない相場です。今回はそんなときにオプション取引では、どのようにポジションを組んでいくかについてお話ししましょう。(『億の近道』堀川秀樹)
フェアラインパートナーズ(株)代表取締役。日興証券にて個人営業から、デリバティブ開発課にて225、TOPIX型裁定取引、国内外の先物売買モデルの開発・運用に従事。投資工学研究所ではダブルα戦略、スタイルインデックスの開発等を行う。日興退社後は兜町のディーラーを経て、ひまわり証券にてシステムトレードの開発、225先物&オプション取引の啓蒙活動に尽力。同社の投資顧問事業をゼロから立ち上げる。日本の個人投資家に「225先物取引」「225オプション取引」「システムトレード」を普及させたことから業界で「Mr.デリバティブ」と呼ばれる。11年7月フェアラインパートナーズ株式会社代表取締役に就任。東京MXTV STOCKVOICE「ワールドマーケッツ」ラジオNIKKEI「レバレッジ・ヴィレッジ」出演中。
コールオプションとプットオプションの仕組みを解説
日経平均の上昇を狙うコールオプションの仕組み
投資家の皆さん、こんにちは!Mr.デリバティブこと堀川です。今回はオプション取引にまつわる面白いお話をしたいと思っています。
さて、2日新甫で始まった12月相場ですが、トランプ砲がいきなり発射され、日経平均先物は2万3,000円を割り込み2万2,900円まで下落しましたが、翌日に「トランプ大統領の思いつき発言に過ぎない」との楽観的報道も出て、再び日経平均は2万3,500円を回復する場面がありました。
注目の12月15日に新たな関税は発動されないとの楽観的な見通しが大勢で、米国市場では史上最高値水準での攻防が続いていますね。米中協議の行方がどのような結果になるのかはトランプ大統領の考え次第と、先行きの見通しが立たない状況ですが、このビッグイベントを通過すると市場の方向性が見えてくるかも知れません。
上に行くのか、下にいくのか、ハッキリしない相場ですが、投資家それぞれが見通しをお持ちでしょう。
そんなときにオプション取引では、どのようにポジションを組んでいくかについて、今回は簡単にお話ししましょう。
前回お話ししたように、まず第一にオプション取引では期限を投資家自らが選んで投資することが可能なのです。
12/15は、12月SQ算出日である12/13よりも後になります。従って投資の対象は2020年1月限(がつぎり)以降のオプションを投資対象にすることになります。
強気の投資家であれば、現在の日経平均の水準が2万3,500円近辺でありますから、それよりも上昇すると見込んで、500円上の2万4,000円(130円)、1,000円上の2万4,500円(43円)、あるいはもっと強気に2万5,000円(12円)のコールオプションを買うことになります。
投資金額はそれぞれ、13万円、4.3万円、1.2万円になります。
コールオプションの買いは、1月限のコールオプションであれば、1/10のSQまでに日経平均が上昇して投資家が選んだ権利行使価格に近づけば上昇することになります。
仮に強気予想が的中し、1,000円日経平均が上昇したとすると、大まかなコールオプションの予想価格ですが、2万4,000コールは130円→595円、2万4,500コールは43円→315円、2万5,000円コールは12円→135円まで上昇すると考えられます。
安いコールオプションほど、上昇率が大きくなります。
Next: 日経平均が下がると思っている場合には、どうしたらいい?
日経平均の下落を狙うプットオプションの仕組み
弱気の投資家であれば、プットオプションの買いで儲けを狙うことになります。500円下の2万3,000円(250円)、1,000円下の2万2,500円(140円)、1,500円下の2万2,000円(80円)のプットオプションを買います。投資金額はそれぞれ、25万円、14万円、8万円となり、投資家が選んだ権利行使価格に日経平均が下落する動きになれば、買い付けたプットオプションは通常であれば上昇します。
仮に弱気予想が的中し、1,000円日経平均が下落したとすると、大まかなプットオプションの予想価格ですが、2万3,000プットは250円→760円、2万2,500プットは140円→450円、2万2,000円プットは80円→240円まで上昇すると考えられます。
安いプットオプションほど、上昇率が大きくなります。
小泉郵政改革相場の時、2004年の春から2005年の夏まで1年数か月にわたって日経平均は1万2,000円が上値の壁となり、抜けずに苦しんでいました。それが8月に1万2,000円の壁を打ち破ると、12月までの5か月間で1万6,000円まで4,000円の上昇を見せたのです。
通常、オプショントレーダーは1か月後のSQ値を予想して、1ヶ月先が満期のオプション取引を行うものです。ところが、あるオプション取引初心者のお客さんは、3ヶ月先、半年先で、2,000円程度上の権利行使価格のコールオプションに数百万つぎ込んでいた方がいました。
その結果どうなったかと言いますと、200万円ほど購入していたコールオプションの価格が跳ね上がり、アッと言うまでしたが確か6~7,000万円になったのです。
ビギナーズラックと言ってしまえばそれまでですが、1年半近くも抜けなかった1万2,000円を抜ける前に、2,000円も上の権利行使価格のコールオプションを買うなど、普通の投資家ではおカネを捨てるようなものだと、通常では考えつきもしないはずでした。
そういう意味では、現在日経平均は2万3,500円程度でなかなか2万4,000円に到達できませんが、3ヶ月先の2020年3月限の2万6,000円のコールオプションは34円の3.4万円で購入できます。10枚購入で34万円ですから、万一3か月後に日経平均が2万8,000円になっていたら、34万円が2,000万円以上に大化けすることになります。
6か月先の2020年6月限の2万6,000円コールは、135円の13.5万円で購入できます。こちらも半年間何が起きるかわかりませんから、もしも半年後に2万8,000円になっていたら、13.5万円が200万円以上に軽くなるわけです。「テンバガー」どころの話ではありませんね。
オプションの爆発力はすごいものがあります。
株式市場でもオプション市場でも、捨て金覚悟で勝負に出れば、運良くタイミングがハマれば一気に「億の近道」を駆け上がることは誰にでも可能なのです。
例として挙げた初心者だからこそ投資できた、思い切ったオプション買いでの長期投資で、大きな資産を作り上げた人が実際にいるのですから、投資は本当に奥が深いと思います。
image by : AvDe / Shutterstock.com
『億の近道』(2019年12月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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