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新規上場したスペースマーケットの成長性は?TKPとビジネスモデルを比較して見えること=シバタナオキ

レンタルスペースのスペースマーケットは12月20日に新規上場しました。同様のビジネスモデルとして、貸し会議室を運営するTKPと比較しながら見ていきます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年12月31日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

レンタルスペースのプラットフォーム運営がメイン事業

Q. 新規IPOのスペースマーケットや会議室レンタルTKPのテイククレートは?

A. スペースマーケット33.7%(テイクレート)、TKP38.6%(粗利率)

12月20日に新規上場(IPO)した、レンタルスペースのスペースマーケットについて見ていきたいと思います。この記事はスギヘイさんとの共同制作です。

スペースマーケットは、マンションや会議室の空室など、遊休不動産の貸し借りのプラットフォームを運営しています。

遊休スペースを持つ人が、オフィスやマンションの1室を1時間単位で貸し出すことが可能で、打合せやパーティーで数時間利用したい人に人気のプラットフォームサービスです。

同様のビジネスモデルとして、貸し会議室などを運営するTKPと比較しながら、両社のビジネスモデルや戦略についても解説していきます。

TKPとスペースマーケットのビジネスモデルの違い

まずはスペースマーケットのビジネスモデルを見ていきます。

※参考:新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)

ゲストが部屋を使用する人、ホストが部屋を提供する人です。

ホストが空いているスペース(オフィスの1部屋)をプラットフォームに登録すると、それを利用したゲストがプラットフォームから申込をして予約、利用をします。利用後にゲストは利用料金を支払い、手数料を引いた金額がホストに入金される流れになっています。

プラットフォーム型のビジネスであるため、スペースマーケットの売上に計上されるのはホストとゲストからの手数料となります。

スペースマーケットの売上=ホストからの手数料(スペース料金×30%)+ゲストからの手数料(スペース料金×5%)

Next: スペースマーケットの高い売上成長率とテイクレートに注目



スペースマーケットのプラットフォーム事業は、年間245%の急成長

IPO資料によると、直近の2018年12月期では、スペースマーケットの所属セグメントであるプラットフォーム事業の売上は412百万円で、YoY+254%と急成長しています。

法人向けソリューションというセグメントがありますが、こちらはスペースマーケットで貸し出されているスペースを使い、イベントの企画やプロデュースから当日の運営までをワンストップで支援する、イベント支援のサービスになっています。

次に、スペースマーケットのテイクレートを確認していきます。

GMV(Gross Merchandise Value:総流通額)は、ゲストの利用料金を集計したもので、このGMVが取扱高となります。

GMV=利用スペース数×スペースあたりGMV

スペースマーケットの売上は、ホストからの手数料(スペース料金×30%)+ゲストからの手数料(スペース料金×5%)でしたので、売上=利用料金の総額(GMV)×手数料(スペース料金×35%)となります。

GMVの推移は以下の通りです。

スペースマーケットのテイクレート(売上/GMV)を算出すると、2017年12月期:75.8%、2018年12月期:41.7%、2019年12月期3Q累計:33.7%と推移しています。

またセグメント別では、プラットフォーム事業と法人ソリューション事業で売上が記載されています。2017年は売上に占める法人ソリューション事業の割合が高かったことが、全体のテイクレートを押し上げたものと考えられます。ちなみにプラットフォーム事業の売上のみでテイクレートを算出してみると、30%前後で推移しており、上で見てきた手数料と同水準になっています。

Next: TKPのビジネスモデルは、スペースマーケットと何が違う?



TKPのビジネスモデル

次にTKPのビジネスモデルを見ていきたいと思います。

※参考:2020年2月期~2022年2月期 中期経営計画 説明資料

TKPは、ビルやテナントの所有者から年間契約で借り、それを時間単位で顧客に貸しています。つまり部屋を大量に仕入れて、時間単位や日割り単位で販売するビジネスモデルと考えることができます。

TKPでは、利用者が支払った金額がTKPの売上となります。

TKPは物件を大量に仕入れ、1日単位で販売していることになるため、売上高=GMVとなります。

スペースマーケットと比較すると、例えば、利用料金が100とするとTKPの売上が100に対して、スペースマーケットは売上35=100(GMV)×35%となります。

以下では、スペースマーケットとTKPの利益率の比較や、両社のKPIや今後の戦略などを説明していきます。

この記事は、シェアリングエコノミービジネスに関心がある方、マーケットプレイスビジネスを担当されている方、または会議室の運営や遊休スペースの貸出しに興味がある方などに最適な内容になっています。

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スペースマーケットとTKPの利益率比較

スペースマーケットとTKPのポジショニング

スペースマーケットとTKPの戦略と重要KPI

主要KPIまとめ

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年12月31日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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image by : KUPRYNENKO ANDRII / Shutterstock.com

『決算が読めるようになるノート』 2019年12月31日号『Q. 新規IPOのスペースマーケットや会議室レンタルTKPのテイククレートは?』より抜粋
※記事タイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による

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