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安倍政権、春を待たずに総辞職? 3つの大失策で高まる早期退陣論=斎藤満

安倍総理は新年の挨拶でしばらくは政権維持の意向を示しました。しかし3つの失策ほか問題山積で、「秋まではとても持たない」との声が強まっています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2020年1月10日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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与党内では秋以降の解散準備

安倍総理は新年の挨拶で、最近の支持率低下を重く受け止めると述べた後、イラン情勢への危惧を表明し、自分の手で憲法改正を実現したいとの強い意欲を見せ、しばらくは政権維持の意向を示しました。

同時に公明党の山口代表も、新年の挨拶で、東京五輪後の秋以降は、いつ解散総選挙になっても良いよう、準備を怠らないよう、げきを飛ばしています。

しかし、情勢は安倍政権にとって急速に悪化し、「秋まではとても持たない」との声が強まっています。

「桜を見る会」の風化を進め、国民の関心を薄めることができていないうえに、カジノ誘致など、IR問題で自民党の議員が逮捕され、中国企業から献金を受けた議員が複数いることが判明。

さらに中東に自衛隊派遣を決めた後、イラン情勢が悪化、政府の責任問題になりかねなくなりました。

トリプル・エラー

まさに「トリプル・エラー」の観を呈しています。

<エラーその1:イラン問題>

このイラン問題は、安倍政権に大きなリスクをもたらしかねません。昨年12月27日、安倍政権は国会の承認を得ずに、自衛隊の中東地域への派遣を閣議決定し、今月中にも防衛大臣から派遣命令が出る見込みです。

建前では現地での調査研究の一環で、情報収集の強化となっていますが、トランプ大統領の「有志連合」に吸収されるリスクが高いものです。

米国とイランとの軍事紛争が広がれば、「戦闘地域への自衛隊派遣」は憲法違反になり、まして自衛隊員の中から犠牲者が出ることになれば、安倍政権は持ちません。

政府は「事態がエスカレートしないよう」祈るしかありません。通常国会が始まれば、野党はここを突いてくることは明らかです。

<エラーその2:カジノ汚職>

その前に、カジノ誘致に関連し、自民党議員や維新の議員など複数の議員が中国企業から金をもらっている、ということになり、すでに昨年12月、安倍総理外遊中に秋元前IR担当副大臣が逮捕されています。

このほかにも10人程度の現職議員から逮捕者が出るとの見方もあり、これを成長戦略の柱としてきた安倍政権には大きな打撃となります。

そうなれば安倍政権は持ちません。

<エラーその3:桜を見る会>

さらに、年末年始の間に国民に忘れてもらおうと考えていた「桜を見る会」についても、新たな情報が出てきて、野党と官僚との間で事実確認が進められています。国民が忘れ去る状況にはなっていません。

地検特捜部は安倍総理自身の「公職選挙法違反」のカードを手にしたとの情報もあり、特捜部の「やる気」が試される状況のようです。

火種はまだまだある

これだけでも「トリプル・エラー」で安倍政権の敗色濃厚ですが、この他にも「加計」問題でも特捜部は有力な「物証」を持っていると言われ、こちらの「火種」も消えていません。

官邸関係者のスキャンダルも週刊誌で暴露されるなど、官邸のグリップが甘くなっていて、統制が効いていない感があります。

Next: 春を待たずに「総辞職」? 米国の支援もまったく期待できない安倍政権



米国の支援も怪しく

安倍政権の苦境に対して、米国トランプ政権からの支援が見られません。

トランプ大統領自身、彼を引きずり降ろそうとする勢力と戦っていますが、同じ勢力がトランプ氏の盟友、安倍総理の足を引っ張ろうとしている可能性があります。

IRの柱であるカジノ誘致の際、米国のカジノ王・アデルソン氏との関係を築いた安倍官邸が、次々と攻撃されています。

ポスト安倍の有力候補と見なされた菅官房長官も、その配下の議員が集中的に狙われ、自信も週刊誌に狙われ、官邸での影響力が低下していると言います。

一部の週刊誌は、米国の諜報機関からの情報を得ているとも言われ、安倍政権の米国との関係が怪しくなっているように見えます。

そのせいか、当初20日開会と目された通常国会の日程がまだ決まりません。

解散シナリオが崩れる

それだけ官邸が混乱しているとも言えますが、結果として安倍総理の解散シナリオが狂ってしまったようです。

当初は、通常国会の冒頭で解散、ないしは補正予算を通した後にすぐさま解散、との見方がありましたが、支持率の急落でこれも厳しくなりました。

与党内にも「みすみす3分の2の特権を失うような解散は避けるべき」との慎重論が聞かれます。

実際、いま選挙をやれば、自民党は50議席以上減らす、との分析もあるようで、解散ムードは急速に冷え込んでいると言います。

将棋で言えば、すでに「投了」といわれますが、野党がここまでは攻めきれず、安倍総理に時間を許してきました。

しかし、ここへきて一気に「トリプル・エラー」以上の失策を同時集中的に露呈しただけに、今の野党でもチャンスがあります。

むしろ、IR関連で現職議員が続々と逮捕される事態となれば、あるいは安倍総理自身に公職選挙法違反などで捜査の手が及ぶようになれば、春を待たずに「総辞職」となる可能性が出てきます。

それだけに今度の通常国会は「政変の波乱国会」となりそうです。干支の「子年」ではこれまで政変の連続でした。

Next: 内閣支持率にも異変。株高支援政権の消滅で日本株は低迷か…



株高支援政権が消える

世論調査の中には、内閣支持率よりも不支持率の方が高くなっているものも見られます。

政権批判が強まっているとはいえ、市場にとってはアベノミクスは超金融緩和の下での株高支援となってきました。

このアベノミクス自体の評価はともかく、株式市場にとっては安倍政権が倒れることは、大きな支えを失うことになります。

イラン紛争については深刻な事態が避けられる可能性があり、株価の急落は「押し目」との見方もあるようですが、アベノミクスの消滅は、金融政策も含めて株高の構図が崩れる可能性を秘めているだけに、株式市場には大きな売り材料となりそうです。

次の政権が打ち出す政策が見えてくるまでは、重苦しい相場になるかもしれません。

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  • 原油高の見えざる衝撃(1/8)
  • 好調米国経済に死角はないか(1/6)

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マンさんの経済あらかると』(2020年1月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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