猛威を振るう新型コロナウイルスが中国人の「ゲノム」を十分に研究したうえで人工的につくられたウイルスとの見方があります。陰謀論とは片付けられないその特殊性と影響について解説します。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2020年1月29日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
安倍政権にも大きなリスク。今年の2大イベントにも影響が出る?
特殊なコロナウイルス
昨年12月に中国の武漢で症例が報告された新型コロナウイルス肺炎。
その後、今年1月下旬以降、急速に感染が拡大し、28日には感染者が4500人、死者も100人を超えました。一部の研究機関は感染者数が政府の発表よりずっと多い25万人、と言います。
当局は不安を広げたくないので実態より少なめに発表し、逆に政権を揺さぶる意図で甚大に出すものもあり、どちらが正しいか不透明です。
2003年にやはり中国で広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)と対比されることが多く、当時800人近くが死亡したのと比較して、感染力が弱いとの楽観的な見方も少なくありません。
世界保健機関(WHO)も国際的な公衆衛生上の緊急事態との宣言を見送りました。
しかし、SARSの時もそうでしたが、感染者が中国人に特化していて、ここまでの患者のほとんどが中国人で、欧米人や日本人は感染していません(編注:原稿執筆時点)。その点、インフルエンザ・ウイルスとは異なる「特殊性」が見られます。
2003年当時は、自然発生的なウイルスではなく、中国人の「ゲノム」を十分に研究したうえでの人工的につくられたウイルス、との見方も提示されました。
2003年当時、中国の江沢民主席にはその情報が事前に入っていて、江沢民主席や党幹部は国外に退避していたとの指摘もありました。これも、人工的につくられた「生物化学兵器」説を裏付けるものと捉えられました。今回のウイルスにも同様の特殊性が見られます。
周到な計画性
もし人工的につくられたウイルスが武漢に撒かれたとすれば、タイミング、場所を考えると、実に周到に準備され、計画された行為と言えます。
潜伏期間が10日前後と言われますが、最初に発見されたのが12月で、そこから感染が広がると、中国の旧正月「春節」にぶつかります。
さらに、武漢は東西南北の地理的な交通の要所で、政治的にも重要な場所に当たります。しかも武漢は人口が1千万人を超える大都市です。
2003年のSARSは、最初に発見されたのは2002年11月で、当時は南部の広東省で見つかり、翌年になって広東省から香港、そして欧米に感染が広がりました。死者は800人近くに上り、江沢民政権は終わりを見ました。
今回は感染拡大がちょうど「春節」にぶつかり、習近平政権をターゲットに揺さぶりをかけた可能性も指摘されます。
これに対し中国政府は事実上武漢を封鎖し、公共交通を止め、人々の異動を制限しました。そのうえで春節休暇を3日延長し、さらに工場などは2月9日まで閉鎖し、感染を封じ込めようと「戦闘態勢」に入っています。
Next: 米国研究所の影が見え隠れ。仕掛けたのはトランプ陣営じゃない?
米国研究所の影
中国政府は発生源を武漢の市場とし、そこでの動物からウイルスが見つかり、人間に感染したと説明しています。
しかし不自然な面も多く、疑問視する声も少なくありません。
2012年のMERS感染も、当初はラクダが感染源で、これに接触した人間が感染し、それが広がったとされましたが、いずれも動物など自然界からの発生説は疑問視されています。
これが人工的につくられた「生物化学兵器」とすると、これを作れる国は米国かイスラエルではないかと見られています。
今回も米国の研究所(ないしその息のかかった武漢の研究所)で作られた人工的なウイルスとの見方があります。
もし米国人にも感染が広がるようなら、米国資本の医薬品メーカーからワクチンの提供があるのでは、とされますが、いずれにしてもマスク業界から医薬品業界に利益が生じることになります。
トランプ陣営にも負担
もし今回の新型ウイルスが習近平政権を揺さぶるために仕掛けられたとすると、米国の仕掛け説に疑問がわきます。
そもそも、表面的な米中摩擦とは別に、トランプ・プーチン・習近平という3トップの連携があるとされています。
従って、トランプ陣営が仕掛けるとは考えにくい面があります。習近平氏が失脚すれば、彼の下で「新冷戦」を展開しようとするトランプ大統領にも打撃となるからです。
そう考えると、同じ米国でも、トランプ政権を煙たく見ている勢力、つまり軍産系、ネオコン系の仕掛け、という可能性が考えられます。
彼らにすれば、習近平政権を倒し、中国を分裂させて、その中で彼らが権勢を発揮する余地を狙っています。
同時に、習近平氏と連携するトランプ大統領にも打撃を与え、大統領の座から引きずり下ろす手段にもなります。
Next: 安倍政権にもリスク。今年の重大イベントと掲げる「2つの問題」に影響か…
安倍政権にもリスク
これはトランプ大統領の傘の下で庇護されてきた安倍政権にも大きなリスクとなります。トランプ大統領の権勢が弱まれば、そのまま安倍政権の基盤が揺らぎます。
それだけではありません。安倍政権にとって今年の重大イベントと掲げる「2つの問題」に影響が及ぶ可能性があります。
<問題その1:習近平の来日が消える?>
1つは、4月に予定している習近平国家主席の国賓来日が危ぶまれることです。
中国内での感染の実態、犠牲者の数ははっきりしませんが、民間世論の間に政府の対応が遅すぎるとの不満が出ているのみならず、地方政府のトップまでもがあからさまに政府の責任を問う発言をしています。
ネット上なら即刻削除の政府批判です。
一部の試算のように、武漢だけでも感染者が25万人も出たり、死者の数の桁が増えるようなら、あるいは日本での感染が広がり、日本人にも感染者、死者が出るようなら、習主席は4月に国賓来日するどころではなくなります。
これは安倍政権には大きな打撃となります。
<問題その2:東京五輪がなくなる?>
さらに日本で感染が拡大し、夏場になってもそれが収まらないようなら、東京オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれます。
政府は28日、閣議で今回の新型コロナウイルスを感染症法上の「指定感染症等」に指定し、公費で強制的に隔離治療することとしました。
WHOが指定する前に日本政府が動くのは異例のことで、それだけ強い危機感の表れとも言えます。
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- 中国の新型肺炎拡大、その隠れた狙いは(1/29)
- 経済構造が変われば政策も変わる(1/27)
- 気候変動、環境問題に脚光(1/24)
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- 政府の日本経済「誤診」がリスクに(1/15)
- にわかに高まる安倍早期退陣論(1/10)
- 原油高の見えざる衝撃(1/8)
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『マンさんの経済あらかると』(2020年1月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。