ついに緊急事態宣言が出され、東京でもサービス業が名指しで休業要請を受けています。そして決定的なダメージを受けるのは、ネカフェ難民や派遣労働者などの社会的弱者たちです。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年4月7日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
名指しされたサービス業は営業中止へ
いよいよ日本でも、他国で実施されているような強烈な都市封鎖は行われないものの、1都6府県で緊急事態宣言が発令されました。各都道府県から名指しで自粛を迫られたサービス業は、営業中止を余儀なくされます。
国も自治体もほとんどこうした営業中止業態に対して補償を支払うつもりはないわけですから、当面5月6日までの休業要請といっても、その経済的被害は甚大なものになるのは間違いない状況です。
東京都の指針では、以下のようなサービスがとにかく中止を余儀なくされるとのことです。
具体的には、
大学や専修学校など教育施設、自動車教習所、学習塾、体育館、水泳場、ボウリング場、ゴルフ練習場、バッティング練習場、スポーツクラブ、劇場、映画館、ライブハウス、集会場、展示場、博物館、美術館、図書館、百貨店、マーケット、ショッピングモール、ホームセンター、理髪店、質屋、キャバレー、ナイトクラブ、バー、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、パチンコ店、場外車券売り場、ゲームセンター等
となっています。
自治体によって微妙に違いはあるのでしょうが、横並び感の強いこの国のことですから、ほとんどの自治体が同じように対応することは間違いなさそうです。
こうして羅列してみると、まあ仕方ないよねえという印象しかないわけですが、業態によってはかなりの規模になっているところもあり、休業補償のない半強制的休業強要がもたらす損失は相当な額になるものと見られます。
派遣社員はいきなり路頭に迷う可能性
こうした休業強要でもっとも影響が出ることになりそうなのが、派遣業界のようです。
全国で156万人以上とされる派遣労働者は、雇用全体のうち1か月以下の派遣契約が実に42%にあたり、さらに1日以下(日雇い労働)となると全体の4分の1の25.4%にものぼります。
営業自粛となれば、真っ先に派遣労働者たちがその影響を受けることになるのは間違いなさそうです。
派遣というとなんとなく月単位での仕事を想定しやすい状況ですが、その実態はもっと短期で劣悪なものであることが改めて見えてきます。
真面目に働いていてもバッサリ雇用を切られてしまい、しかもそれを防ぐ手立てがまったくない。こうした業態での労働者は、非常に深刻な状況にあることがわかります。
Next: また多くの人にとって市場規模感がはっきりしないキャバクラの業態は――
キャバクラの国内市場規模は1兆円超
また多くの人にとってはその市場規模感がはっきりしないキャバクラの業態は、なんと国内で1兆円超の市場規模を誇っています。
学生やほかの仕事と兼業しているキャバクラ嬢の数も、100万人近いのではないか?とさえ言われている状況です。
国内新聞広告費が4,800億程度、回転寿司の市場規模が6,000億程度ですから、想像以上に大きな業界であることがわかります。
こうした業態はとくに都市部に多いわけですから休業を強要された場合専業のキャバクラ嬢がいきなり路頭に迷うことも予想されます。
さらにこのリストには出てきませんが、国内の必要悪的業態の風俗業に働く風俗嬢はほぼ30万人と言われています。当然、日銭が入ってこなくなり、影響を受けるのは必至の状況です。
都内のネットカフェ難民はほぼ4,000名あまり
よりクリティカルになるのは、社会的に存在が正式に認められていないのに実際には存在する人たちです。
たとえば、東京で言いますと、ネットカフェに毎日寝泊まりしてなんとか居場所を確保する「ネットカフェ難民」は実に4,000名は存在すると言われており、そのネットカフェがいきなり1か月営業自粛に追い込まれれば、途端にホームレスへと転落することが想像されるところです。
NY市では社会的・経済的弱者が真っ先にウイルス感染
FX投資の情報をお届けする当メルマガで、社会的弱者の問題を議論しても仕方ないと思われる方も多いかと思います。
NY市におけるデータをみますと、今回の新型コロナの感染においてはこうした社会的・経済的弱者で都市封鎖の影響を直接的に受けてしまった層が、はからずもウイルスの感染拡大に大きく寄与してしまったという事実が鮮明になりつつあります。
今回の国や都道府県の政策のようにこのような人たちをまるで存在しないかのように扱うやりかたは、必ずウイルス感染にネガティブに働くことになります。
最初からしっかり面倒を見る体制をつくらないことには、社会全体を崩壊させかねない点に注目すべき状況です。
Next: 英国のボリス・ジョンソン首相は、新型コロナに感染してかなりシリアスな――
108兆円規模の経済対策?
英国のボリス・ジョンソン首相は、新型コロナに感染してかなりシリアスな状況に陥っています。その英国では、ベーシックインカムの考え方を今回の新型コロナウイルス感染での都市封鎖に絡めて、はじめて全休業者の給与を80%支援。パブや飲食店などにも支給を決定しています。
日本でも、足もとの危機的状況下においては、英国のように思い切った政策を打ち出してほしいものです。
しかしなぜか108兆円という対策規模の数字だけがおどり、実効性の低いものになっている点が非常に危惧されるところです。
このウイルス禍、とにかく早く鎮圧されないことには投資などをやっている場合ではなくなってしまいます。
そういう意味でも国内のこうした状況は、個人投資家にとっても見て見ぬふりをするわけにはいかないものになっているのです。
とくに社会的には認められないような商売でも、それを行ってなんとか生活を維持している人が存在するという厳然たる事実に、どう向き合って、どう手を差し伸べるかはかなり大きな問題です。
「昨年は1億円を稼げても、今年はまったくダメ」という世界が投資にも待っているわけですから、こうした人々をどのように救済するかは、個人投資家にとってもまったく関係のない話ではありません。
弱者を問答無用で切り捨てることによって社会全体が崩壊することだけは、なんとか食い止めなくてはならないと思う次第です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2020年4月7日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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