今や普通の生活をするためにも資産運用が重要になりました。では、資産のどれくらいを貯蓄し、投資に回せばいいのか?自分のリスク容認度を知る方法を教えます。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
生活に影響がない範囲で投資すること
投資は、リスクを取れる範囲ですることが重要です。価格が上下するのですから、下がった時には「使えないお金」になるからです。
リスク容認度は、2つの考え方があります。
1:投資した元本がどれくらいマイナスになっても、生活に影響がないのか?
家計から考えるリスク容認度ですね。
2:どれくらいまでなら投資した元本がマイナスになっても、気持ち的に耐えられるか?
ご自身の性格などによる限度についてです。
(1)の生活への影響の側面から見るリスク容認度は、比較的わかりやすいです。
まず、あなたの家にある資産を書き出してください。そして、家族の年齢から、今後、必要になる支出を書き出します。
2年以内に使うお金でしたら、預貯金で準備しておくのが鉄則です。例えば、投資を活用して子どもの教育費を貯蓄するのも、必要になる2年前くらいからタイミングを見て預貯金に移動してくださいね。
年齢によるリスクは預貯金で調節
さて、あなたの家計の資産を書き出して、「2年以内に使うお金」と「生活費の6ヶ月分」は、預貯金で確保できているでしょうか?
預貯金が少ない場合は、預貯金を優先して貯めます。
2年以内に使うお金+生活費6ヶ月分が準備できていない場合、資産的な側面から見たリスク容認度は、毎月の貯蓄額の10%程度です。
毎月1万円の貯蓄ができるのでしたら、9,000円を預貯金に、1,000円を投資に回すという感じです。
また、預貯金の割合は年齢によって変わってきます。40代くらいまででしたら、生活費の6ヶ月分で十分です。
ですが、老後が近付いている方や年金生活者は、もっと預貯金の割合を多くする必要があります。
私は、投資のポートフォリオを年齢に合わせて構築するのはナンセンスと思っていますが、預貯金の割合は、年齢に応じて多くすることをおすすめします。収入源が年金しかない場合は、投資のマイナスをカバーするのが難しいからです。
次項では、(2)の性格などによるリスク容認度の考え方について考察します。
Next: 行動心理学の研究で「利益の喜びよりも、損失のストレスの方が大きい」――
元本がマイナスになっても耐えられる?
行動心理学の研究で、同じ額であれば「利益の喜びよりも、損失のストレスの方がかなり大きい」ということが分かっています。
しかし投資では、リスクを取らないとリターンも得られません。
投資の基本は「安く買って、高く売る」ことですから、心理的には大暴落で「買いたくない時に買い」、まだまだ上がりそうな「売りたくない時に売る」と儲かるのです。
コロナ・ショックでも、初期の頃は安くなったので購入できていた人も、日経平均が1万6,000円台まで下がった時は、恐ろしくて購入できなかったと思います。
逆に今年の1月に2万4,000円台になった時に、売却できた人も少なかったでしょう。
マイナスのメンタルトレーニングはしない
基本的に投資は、メンタルが強い人でないと大きな利益を享受できません。ただし、メンタルはある程度は鍛えることはできます。
まず、過去の失敗は「気にしない」こと。
「あの暴落時に買っていれば」
「あの高値で売っていれば」
過去の失敗を何度も繰り返して思い出してしまうと、ますます自分に自信が持てなくなります。
よく、売却した銘柄のその後をチェックする方がいますが、それでは、マイナスのメンタルトレーニングをしているようなものです。
売却した銘柄は、もう2度と見ないくらいでちょうど良いのです。
自分のリスク容認度はやってみないとわからない
そして、自分のリスク容認度は、投資を体験してみないと気付けないのです。
なので初心者は、少額から投資をはじめるかリスクの少ない資産も保有することです。
慣れてきたら、少しずつ金額を上げたり、リスクの高い資産を増やしたりしましょう。
『教育貧困にならないために』(2020年6月1日・2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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