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瀬戸際の中小企業を見捨てる日本。なぜ手厚い援助の米国と差が付いた?=児島康孝

FRBパウエル議長は重要な政策変更を行ったと前置きし、インフレ率2%超えを目指すと発表しました。コロナ禍に対応して手厚く援助しようという姿勢です。対する日本は、まったく支援が足りません。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)

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雇用に配慮。インフレ率2%超えをめざす

FRBは定例のFOMC会合を開き、声明を発表しました。「しばらくの間はインフレ率が2%よりも緩やかに上昇することを目標」としています。

これは、従来はインフレ率2%を目標にしてきたものの、状況が厳しいため「2%の超過をめざす」という話です。

パウエル議長は、会見で「FEDは本日、声明に重要な変更を加えた」と言い切りました。重要な変更と言ってもどうなの?あまり変わってはいないのでは?と、私自身も最初は思いました。しかし、インフレ率2%の水準が目標ではなくて「超える水準をめざす」という、FRBの強い決意表明です。

これはつまり、2%を超過する水準、例えば2.5%ぐらいを目指して、強力な政策を実行することを示しています。

FRBの場合、日銀と違って、目標を定めたら徹底的に動きます。ですから、「2%超え」と言い切ったことは、パウエル議長の言うように、重要な政策変更だということです。

日米の金融政策の格差が顕著に

私の会社の関係でも、日本政策金融公庫のコロナ融資は断られています。

日本の場合、余裕のある会社に多めに融資をして、厳しい会社は融資を断ります。そして、日銀などの発表では、融資が増えているように見せかけるということをしています(=数字合わせの手法)。

個人給付でも、アメリカでは月額3,000ドルや4,000ドルの個人への数回の給付はザラです。対する日本では、マスク2枚と10万円(1,000ドル弱)の1回だけです。

コロナ感染拡大から数ヶ月を経て、結局、個人給付はアメリカの10分の1ぐらいの給付実態となっています。日本では、個人と中小・零細会社に絶望感が漂い、悲鳴があがっています。

すでに日本の裁判所には、破産・倒産・差押えの案件が順番待ちで続出していて、これから判決や決定・命令が次々と出てきます。

Next: 「援助の不足は最終的に経済を傷つける」。なぜ日米でこうも違う?



援助の不足は最終的に経済を傷つける

ところで、FRBのパウエル議長は、日本時間きょう未明のFOMC後の記者会見で、「援助の不足は最終的に経済を傷つける」と述べています。また雇用については、「最大雇用が回復すれば、インフレは2%に近づく」と述べています。

これは、経済の鉄則(セオリー)を述べたもので、アメリカの場合は、このセオリーに沿って経済対策が進められています。

日本の場合は、まったく逆で、「援助はなるべく少なく遅く」「雇用の実態は無視、インフレ率2%も無視」「貸し剥がし・回収の横行で、超絶な金融引き締め」となっています。

つまり、アメリカや欧州は、「援助の不足は、最終的に経済を傷つける」という見方に沿って、しっかり給付を行い、コロナからの経済回復を伺っているわけです。

一方、日本は援助の不足により、経済が深刻なダメージを受け、人災での「コロナ大恐慌」が起きようとしています。雇用も見せかけの数字合わせが多く、雇用の実態は悪いですから、当然ながら、ずっと、インフレ率は2%に届きません。

「援助の不足は最終的に経済を傷つける」。

今回のパウエル議長のこの言葉は、日本の多くの人にも知ってもらいたいと思います。

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2020年9月17日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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