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市場の「二極化」と明るい兆し マザーズ指数はなぜ強いのか?=炎

昨年末~2月上旬の全面安相場と今回の相場は明らかに異なり、二極化はしていますが、ムードは明るい。明るい兆しが見えつつあると言っても良いのではないでしょうか。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

昨年末~2月上旬の全面安相場と現在の相場は明らかに異なる

明るい兆し

2月の時点よりも円高が進行しているにも関わらず日経平均は2月安値を下回ることなく、株式相場は円高への抵抗力がついてきたようです。

2月12日の安値から2か月が経過しようとしていますが、そのことが意味することは円高の影響を受けない銘柄探しが活発なことです。

結果として、マザーズ市場を中心にした新興市場に資金が流入し、創薬ベンチャーやフィンテック銘柄、IoT関連、AI関連銘柄への物色気運が高まっています。

マザーズ指数は先週末1049.63をつけ、既に2013年5月の高値である1083.24を射程圏に捉えています。

そのリード役となっている創薬ベンチャーの先駆企業、そーせいグループ<4565>は4月6日の安値13380円から20860円まで急騰を演じており、その時価総額は3200億円を突破。マザーズ指数上昇への寄与度を高めています。

マザーズ指数 日足(SBI証券提供)


そーせいグループ<4565> 日足(SBI証券提供)

マザーズ指数ばかりだけではなく、JASDAQや東証2部などの内需系銘柄にも先週末はようやく物色気運が高まりつつあります。

為替が円安となってメリットを受けてきた輸出関連の大型銘柄も、伊勢志摩サミットを控えて日本の経済政策への期待感もあり、為替の円高局面が反転する可能性を感じる投資家には魅力的な水準になってきたと感じられるのかもしれません。

昨年末から2月12日にかけての全面安相場と今回の相場は明らかに異なり、二極化はしていますが、ムードは明るい。明るい兆しが見えつつあると言っても良いのではないでしょうか。

輸出関連大型銘柄や金融株が含まれる日経平均はファーストリテイリングの影響を受けやすく、株式指数としては相場の方向性を明確に示しているとは言い難いのですが、その真逆にあるマザーズ指数の方が、個人投資家の物色の意欲を示しているようです。

ここからの相場展開は、3月本決算の見通しが示される5月中旬から株主総会シーズンまで、内需系銘柄がリード役となって個別材料株の乱舞が続くと期待されます。

株価面ではテーマ株が主役となりますが、決算内容を反映した中小型株の活躍にも期待が寄せられます。

Next: 調整ムード続く株式市場で、マザーズ指数はなぜ強いのか?



調整ムード続く株式市場で、マザーズ指数はなぜ強いのか?

多くの投資家の関心事が日経平均はどこまで調整するのか?にあるとすれば、それは為替次第という答えとなってきます。

為替相場が円高に向かっている状況下で、それに連動して動いてきた日経平均が底打ちするには、明確に為替が円高のピークを打つ必要があります。それが1ドル=103円~105円ではないかと言われている間は底打ちすることはないという見方です。

しかしながら4月7日から8日にかけての日経平均は、為替が一時1ドル=107円台をつけ、一段と円高に向かいつつある中で比較的落ち着いた動きが見られます。円高=株安の構図が崩れつつある証拠かもしれません。

一方で日経平均が基調として弱いにも関わらず、多くのIPO企業が上場を目指すマザーズ市場の株価指数はこのところ強い展開が見られます。市場の潮流は輸出関連の主力大型株を避け、内需中心の中小型株、とりわけマザーズ市場銘柄に物色の矛先を向けていると考えられます。

こうした物色の流れが、マザーズ指数を本年2月12日の安値664.92から3月31日の1026.45まで、54.4%も上昇させる結果になったと見られます。日経平均は弱いのにマザーズ指数が強い背景には、こうした為替の影響を受けないテーマ性で評価される内需銘柄が多いことがあると推察されます。

とりわけ、ロボットスーツのCYBERDYNE<7779>やビットコインのセレス<3696>といった成長期待の高い銘柄の人気が継続しています。また、弁護士ドットコム<6027>や中村超硬<6166>、ハウスドゥ<3457>といった好業績銘柄への人気が高まっています。

CYBERDYNE<7779> 日足(SBI証券提供)


セレス<3965> 日足(SBI証券提供)

このほか、上場後から長期に株価が低迷してきたビッグデータ関連のALBERT<3906>が2月12日のボトムから1か月余りで2.8倍にまで急騰するなど、根強い物色気運が様々なマザーズ銘柄で見られます。

Next: 上場後に株価が長期低迷しているマザーズ銘柄に妙味も?



上場後に株価が長期低迷しているマザーズ銘柄に妙味も?

つまり、好業績株やテーマ株、反転上昇の可能性がある長期低迷株など多彩な切り口で投資家が取り組んでいる姿が感じられます。これらの銘柄は上場時から人気化したCYBERDYNEのような例外を除けば、比較的IPO時点においては穏健な値動きを見せることが多いのですが、投資家からの理解が進めば、その後は時折見せる調整局面を経て株価が大きく上昇する銘柄があったり、反対に長期に株価が低迷してきた銘柄が何かのきっかけで見直されることで大きく株価が上昇するに至ったりしている訳です。

今年のIPO銘柄数は3月までが23、4月の5銘柄を加えると28銘柄となります。そのうちのマザーズ上場銘柄数は既に上場を果たした14銘柄に加え、今後上場する2銘柄を加え16銘柄となります。

中には直近IPOしたスマホゲームのアカツキ<3932>のように上場直後弱含んだものの、その後急騰を演じている銘柄もあります。

アカツキ<3932> 日足(SBI証券提供)

マザーズ上場の銘柄の多くは内需系サービス企業でネットワークを活用した成長が見込まれるなど内容を吟味すれば、上場後に株価が長期低迷していても、1~2年で大きく居所が変わる銘柄も出てくると期待されます。

短期よりも中長期視点でのじっくり型の投資が奏功するものと思われます。

日本株の潮流が大型株一色から中小型株を指向する動きがなおも続くなら、こうしたマザーズIPO銘柄を改めて研究し直すことが運用成果の向上にもつながると考えられます。

【関連】今週末にも1ドル104円? 日経平均に2,000~3,000円の下落余地=長谷川雅一

億の近道』(2016年4月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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