祖父母が孫の教育資金を援助する場合、贈与税が非課税になることをご存知でしょうか?今回は意外と知られていない贈与税の仕組みについて解説します。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
孫の「教育費」は非課税
意外と知られていないのですが、祖父母が教育資金を援助するのは贈与税「非課税」なんです。
なぜかというと、子どもの「扶養義務者」に祖父母も入るので、非課税なんです。
ただし、注意が必要です。非課税なのは、学校への入学金・授業料などの支払いに、祖父母が「直接支払う」場合に限ります。
ポイントは、親に学費を負担する能力があったとしても、贈与税は非課税であること。
大学の入学金を、おじいちゃん・おばあちゃんが振り込む場合、贈与税はかかりません。
手続きを間違えると課税対象に
ところが、よく間違えてしまうケースがあります。
祖父母から父母の預金口座に入金して、父母が学納金を振込する場合は、贈与税の対象になります。
大学4年間分の授業料を一括で孫または父母の口座に入れると、贈与税の対象となってしまいます。
その都度、直接の充当にはなりませんので、非課税にならないのです。
「教育資金一括贈与」という制度も
大学費用だけでなく、スイミングやビアノのレッスンなど習い事の費用を負担する場合も、直接支払う場合は非課税です。
「教育資金一括贈与」という制度もあります。
一定の手続きをすると、祖父母から孫へ教育資金を一括で贈与しても1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。
ただし、これは2021年までの制度になります。
Next: 祖父母が孫の教育費を負担するのは、基本的に「非課税」
節税対策として使われる場合も
その都度支払うのが面倒な場合、この「教育資金一括贈与」という制度が活用できるのですが、信託銀行に口座を開く必要があったり、領収書などの提出義務もあります。
また、使い残した部分は贈与税の課税対象になってしまいます。
この制度を使うくらいならば、その都度、直接支払いをしたほうが手間は少ないと思います。
手間はかかりますが、祖父母の節税対策にはなりますので、お金持ちの場合はそれなりに利用価値はあります。
いずれにしても、祖父母が孫の教育費を負担するのは、基本的には非課税だということ覚えておいてくださいね。
『教育貧困にならないために』(2020年10月14日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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