NHK受信料「義務化」に批判の声。支払う法的根拠はあるのか?

 

契約を結ぶ義務があることは否定せず、受信料については支払わなければならないというのが裁判所の判断ですが、NHKとの受信契約がいつ成立するかについては判断が分かれています。

「NHKの申し込みから、承諾に通常要する相当期間を経過した時点で受信契約は成立し、NHKは、承諾の意思表示を命じる判決を求めることなく、受信契約に基づく受信料の支払いを請求できる」(東京高判平成25年10月30日)と判断する一方で、同じ年の別の判決では「NHKの契約申し込みと、受信者承諾意思一致しなければ受信契約は成立しない」(東京高判平成25年12月18日)という異なる判断も出されており、判断が分かれている状態といえます。

この2つの判決の異なる点は、前者ではNHKが契約を申し込んで相当期間(2週間と言われています)たてば契約が成立してしまうのに対して、後者では裁判所による判決確定してやっと契約が成立する、という点にあります。

その後も簡易裁判所においては、受信料の支払いを巡る裁判がいくつも提起されているようですが、契約の成立時期についてはまだ統一した見解出ていないように思われます。

このような状況の中で、受信契約の有無にかかわらず受信料を徴収するためには放送法の改正が必要ですが、これに対しては事実上の税金化であるという批判が出されています。NHKは、受信料をめぐって上記のような裁判が多く行われているということを真摯に受け止め、義務を負わせる人々に対して説明を尽くして理解をしてもらうことが何より必要なのではないでしょうか。

image by: Wikimedia Commons

 

知らなきゃ損する面白法律講座
わかりやすくて役に立つ弁護士監修の法律講座を無料で配信中。誌上では無料で法律相談も受け付けられます。
≪登録はこちら≫

print
いま読まれてます

  • NHK受信料「義務化」に批判の声。支払う法的根拠はあるのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け