実はマイナンバーが庶民に「多大な利益」をもたらす可能性

 

時代遅れな「軽減税率」という発想、膨大な国民負担

現代における「軽減税率」は一体、誰が何を基準にどのように決めるのだろうか。当然、ここに国と特定の業界とで、税率を巡るせめぎ合いが起こる。一度決まってしまえばそう簡単に変わることはないのだから、業界団体も必死で政治家を抱え込もうとする。税の立案段階から、庶民の目の届かないところで、政官業親睦を深めていく場がまた1つ生まれることになる。

仮に軽減税率が発効され、ある商店において複数の税率を持つ商品を取り扱っていた場合、それへの帳簿、経理は非常に複雑なものになる。カナダではドーナツ5個以内なら外食扱いで消費税6%、6個以上ならテイクアウトで非課税となるらしい。ドイツでは食べる場所によってハンバーガーの税率が変わる。店内で食べると外食とみなされ消費税19%、ドライブスルーで駐車場に回って食べれば7%。このアナログ時代の産物を、これから始める日本で本当に取り入れるべきだろうか。

複雑な税体系はその複雑さ故、「自分は誤って税を払い過ぎてはいないか」とか、「いや、何らかの節税対策があるはずだ」などと納税者疑念を抱かせる。これが税や国への猜疑心となり、さらに「納税心」が削がれるという悪循環を生む。複雑な分だけ国が関与を深め、またそこに権益生まれる。本来、公平でなくてはならない税が公正さを欠く元となっている。やはり簡素簡潔であるべきだ。

最大の課題、世界同時発効を模索

しかし、この制度には1つ難題が存在する。仮に一国だけで始めた場合、米ドルやユーロ、人民元など、信用力のある通貨を使った闇取引が行われる可能性が残る。それを防ぐため、銃や麻薬同様、その持込みや罰則強化する必要性が出てくる。

他の主要国とともに開始することで、より大きな効力が発揮される。最低でもG7、できればG20で始まれば、他国通貨持込みの心配が大きく減少する。経済的信用力が小さな国の紙幣使用による闇取引には限界がある。「通貨」と言う国家最大の権益に触れるBitcoinなどはいずれ規制の対象となり、その影響力が増せば増すほど規制が強化される運命にある。「世界通貨」となり得る資質を備えながら、それが各国政府に排除される運命にあることは非常に残念だ。

各国は、税率と課税対象者を自国の経済状況に応じ独自に設定する。みなが同一である必要はない。外から持ち込まれるものにはこれまで通り、関税(非国内人課税)や、逆にFTA交渉等で対応する。

平和裏に進む「国家間淘汰」

参加国毎に数値が異なろうと、同じ基盤の税制を持つことで透明性増す。一国が行う税の権益操縦が容易でなくなる。これは何よりも民衆・民間の力増すことを意味する。

これまで大企業、グローバル企業は自らの政治力を測りながら拠点を定めてきた。税が簡素化され、これに絡む多くの権益が解かれることで、経済的合理性に基づいた移動が始まることになる。

逆に強大な政治力を自社、グループ企業に用い、市民零細企業から機会の公正さを奪うような企業には、国から出て行ってもらった方がいい。長期的に見ればそうなることで、より公正な社会が構築される。米国や過去の日本を見て明らかな通り、戦争の影には必ずそれで潤う企業とその影響力存在する。そのような企業が政治とともにある限り、安寧な社会、世界は訪れない。

もし人々にも、大企業並みに他国への移動(居住)の自由があったなら、また、年金・保険機構が国境を越えて独立し、国を通さない年金支給が可能であったなら、人気のない国からは多くが去り、どの国リーダーが「裸の王様」であったかが示される。場合によっては不人気な国消滅し、国家間の「平和的淘汰」が起こる。そして人々は所属、愛国とは何かという問いに、これまでとは異なる見地に立って考えるようになる。そこには、真のデモクラシー、「民衆主権」が残るのだと思う。

image by: MAG2 NEWS

 

グローバル時代、こんな見方も…
グローバル時代、必要なのは広く正しい世界観。そんな視点に立って私なりに見た今の日本の問題点を、日本らしさの復活を願い、滞在先の豪州より発していきたいと思います。
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