南シナ海の米中緊迫、新聞各紙は「大国の思惑」をどう伝えたか?

※画像はイメージです
 

フェイスブックで公開する駆逐艦情報

【読売】は1面の記事に続いて2面には「自由な海 日本も支持」の見出しで、自衛隊が米軍の要請によって南シナ海での情報収集・偵察活動を行う可能性について書いている。小さなQ&Aがあり、「航行の自由」について解説。米軍は昨年9月までの1年間に中国など19カ国に対して「航行の自由」を示すための活動を実施したと書かれている。

3面の解説記事「スキャナー」は、背景についての詳細な分析を含む。他紙には見られない精密さ。今回の行動は、以前から米軍がホワイトハウスに実施を提案してきたものだという。共和党による批判、ベトナム・フィリピン両国による批判などを経て、首脳会談でも譲歩を引き出せなかったオバマ政権が今回の行動に踏み切らざるを得なかったものだという。そうであるがゆえに、中国との対立を過熱させず、偶発的衝突を回避しようという配慮が随所にあり、ラッセンの動きは随時、フェイスブックで公開されていたという。また米当局者は「ベトナムやフィリピンによる構築物の周辺でも実施する」として、中国のみを狙った行動ではないことを強調したという。それでも《読売》は、今回の行動によって中国人工島から手を引く可能性ない断言する。既に南シナ海で「中国は制空権を確保」しているという。しかも、これをきっかけに、南シナ海での防空識別圏設定を行う可能性があるという。

6面と7面の国際面にも複数の記事。人工島の航空写真、東シナ海での原油採掘リグの写真を全部並べ立てたときの《読売》紙面を思い出させる。また、対応が割れるASEAN各国についてのリポートでは、中国に対する批判姿勢の強弱で各国を3つに分けた図を掲載。領有権を争うベトナム、マレーシア、ブルネイとは対照的に、ミャンマー、ラオス、カンボジアの3国は中国経済の影響下にあるので批判姿勢は弱いという。また李克強首相の訪問を控えた韓国は態度表明を避けていると。

uttiiの眼

中国批判というのは《読売》の大好物で、今回も色々なところにその「片鱗」が見えるけれど、記事の水準圧倒的に高く面白い。考える材料という意味でも、重要な事実がたくさん摘示されている。

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