中身はとってもいいのに、タイトルだけで読む気をなくす本ってありますよね。メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で、そんなもったいない本『#GIRL BOSS』を紹介していました。確かにこのタイトルは……では、3分で中身をチェックしてください!
■本日の一冊
『#GIRL BOSS』ソフィア・アモルーソ・著 CCCメディアハウス
こんにちは、土井英司です。
「良い本は売れる」。
これは、出版人なら誰もが信じたいことですが、残念ながら、黙っていては売れないものも存在します。
それは、内容とターゲットがズレていたり、並ぶ棚にターゲット層が来ないような状況の時に発生したりします。
かつて、本田直之さんにお薦めされたバーバラ・コーコランの『大きなケーキは人にゆずろう』もそうでしたが(バーバラ・コーコランはNY最大の不動産会社。土井もお世話になっています)、著者が女性で本格的なビジネス書を書いた場合に、それは起こります。
本日ご紹介する一冊『#GIRL BOSS』もまた、そんな危険性を感じる良書。
こんなタイトルを見て、BBMが立ち上がらないわけにはいきません。
著者は、イーベイでの古着販売をきっかけに、アメリカで1億ドルを超える売上を達成したカリスマショップ「NASTY GAL」創業者のソフィア・アモルーソ。
学校になじめず、万引きやゴミあさり、ヒッチハイクをしていた著者が、いかにして現在のビジネスを立ち上げ、大成功するにいたったか、その詳細が書かれています。
ファッションビジネスということで、創業者の感性に原因を求める方も多いと思いますが、本書を読む限り、著者はビジネスの基礎を押さえていたからこそ成功したのだと推察します。
成功するための考え方や、商売で成功するための人やお金への接し方など、参考になる部分が多かったので、ご紹介しておこうと思います。
成功するための考え方
- 「何にでも疑問をもつ」
- 「人生で出会うほとんどすべてのものごとに対して、まずは「ノー」」
- 「もし退屈だ、こんなところは嫌だと思ったら、それは自分がいるべき場所ではないという大きなサイン」
- 「もし学校で行き詰まっても、やる気まで失くしてはいけません」
- 「欲しいものが手に入らず不満でも、ちょっと待って。それをはっきり要求してみたことがありますか?」
- 「どんなボーイフレンドにだって昔のガールフレンドはいるし、どんなビジネスにだって、商売がたきはいるものです。でも、それについてどのくらいの時間を費やすかはあなた次第。正直なところ、あなたのボーイフレンドの元カノが(あなたが密かに願っているように)ある日突然、車にはねられたって、何だっていうのでしょう? あなたはあなたなのです(略)」
商売で成功するためのヒント
- 「写真撮影で大切なのはシルエット」
※お客さまが1枚につき1マイクロ秒以下という猛スピードで次々に商品の画像を拡大していくとき、目につくのはシルエットだから - 「顧客にスタイリングのサービスも提供」
- 「商品説明を書くときは、細部を強調して」
※詳細はすべて盛り込みます。肩幅、胸幅、胴回り、着丈……欠陥は必ず明記し、商品の状態については常に100パーセント正直でいる - 「私ひとりしかいなくても、「私ども」としました」
- 「お客さまに対しては「もちろん」ではなく「はい」、「わかりません」ではなく「お調べいたします」
- 「決してやってはいけないのは、収入が増えたとたんに支出を増やすこと」
- 「アイディアはお札と同じ──無駄にしてはいけません」
- 「もしあなたが自分の心のうちをぶちまけたいのなら、友だちかセラピストを見つけること。あなたが日常的に指揮下に置くべき人物相手にやってはいけません」
- 「ビジネスを成功させる鍵のひとつは、いかに経費をかけずに宣伝するかです。第一の法則? それは簡単、ただ、いい仕事をすることです」
大昔の商売は、希少品を権力者に献上して、大量生産品を売る特権を得るのが王道でしたが、消費者主権の今、王道は一般人に希少品を売りながら人を集め、最終的に大量生産品を売ることに変わりつつあります。
著者が創業した「NASTY GAL」は、まさにその原理原則に従い、成功した模範的ビジネスモデルです。
タイトル、表紙に惑わされることなかれ。
これはぜひ、絶版になる前に読んでいただきたい一冊です。
◆目次◆
#ガールボス年表
1.#ガールボスになる
2.どうやって#ガールボスになったと思う?
3.つまらぬ仕事は身を助く
4.万引きとヒッチハイク
5.お金は足元より、銀行にある方がステキ
6.チチンプイプイ──魔術的思考の力
7.アンチ・ファッション
8.雇い、雇われ、クビにされ
9.会社を経営するということ
10.何ごとにも独創性を
11.チャンスって何?
編集後記
昔、初めてイギリスに行った時、現地の日本語書籍があまりに高額で驚きました。
現在もその状況はさほど変わっていないらしく、NYの紀伊國屋書店の書籍は、日本の倍近くするそうです。
先日、NYで学んでいるビジネススクールの方々にお会いしたのですが、みなさん口々におっしゃるのは、「電子化されているビジネス書が少なすぎる」ということでした。
紙の販売を守りたい気持ちはわかりますが、世界各地に広がっている日本人コミュニティーのことを思えば、電子化には十分メリットがあります。
出版社のみなさん、どうぞご検討ください。
毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行
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