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45名死亡事故で首相辞任も。現地在住の日本人がみた緊迫のルーマニア

10月30日に発生し45名が死亡したルーマニアのナイトクラブ火災。これをきっかけにデモが発生し、首相が辞任を表明するなど混乱が続いていますが、無料メルマガ『出たっきり邦人【欧州編】』では、現地在住の日本人が緊迫した模様を伝えています。

リトル・バレリーナ ナイトクラブ火災事故

みなさんもニュースを見てご存じかもしれませんが、10月30日にブカレストのナイトクラブで大きな火災事故がありました。その日はインターナショナルのロックバンドが演奏しに来ていたらしく、およそ300人から400人がクラブにいたそうです。

パフォーマンスの一部で花火を使うシーンがあったあらしく、その火が誤って天井に燃え移ってしまったのが火災の原因らしいです。現時点で45人死亡。けが人150人以上。今も病状が悪い人はヨーロッパ内の病院に転院されたりなど難しい治療が続いているそうです。

この事故によって国の方針に不満を持った国民がデモをはじめ、街中にはたくさんの警察官が配置されています。事故が起きたときに首相だったポンタ氏は辞任されたそうです。

ここからは私が個人的に聞いた話や身近に起きたことを書きます。

私がこの大きな事故があったことを知ったのは翌日の朝でした。同居人のイギリス人のご両親がニュースを見て心配になり連絡されたからです。その日は私も日本にいる友達から大丈夫? と連絡が来たりしたり、そこで改めて大きな事故なんだと感じさせられました。

特にナイトクラブで起きた事故だったので若い人がたくさん巻き込まれました。同じオペラに所属する友達にもたくさんの人から心配の連絡が届いていました。幸いオペラでは30日も31日も公演があったので、誰もそこのクラブに行くことはなかったのですが、監督のアシスタントが友達と事故があったクラブに行く予定をしていたらしく、不幸中の幸いでアシスタントは公演中にケガをしたダンサーを救急に連れていくことになりクラブに行くことはなかったのですが、一緒に行かれる予定だったお友達が残念ながらその事故に巻き込まれてしまいお亡くなりになりました

この話を聞いたときに鳥肌がたちました。自分勝手な発言になりますが、本当にオペラの友達が誰も巻き込まれなくてよかったです。

ブカレスト内で起こった事故だったので事故があったクラブの近くに住んでいる友達もいて、その子いわく、いきなり外がざわざわしだして外を見てみるとクラブからたくさんの人が逃げ出して道路に人が散乱していたそうです。

火災事故だったので金銀色のラップのような物に身を包んだ人がたくさんいて、みなさん連絡をと取る手段もなくただただ道にたたずむしかできなかったそうです。

事件翌日の午後には国から今日から3日間のイベントはすべてキャンセルするように言われ、11月1日にあった公演は残念ながらキャンセルになってしまいました。ルーマニアでは大きな事故や災害があると数日間は追悼の意味を込めてイベント類はキャンセルされるそうです。

先週に入ってからはデモが始まり警察がいろんなところに配置され街中緊張感が漂っていました。センター街では交通機関が閉ざされてしまうほどの人がいたそうです。

今回の事件で一番問題だった逃げ道の確保。出入りできるドアが1つしかなかったためたくさんの人が犠牲になってしまいました。このためブカレスト内のクラブの安全面も厳しくなったらしく何軒かのクラブやレストランは安全面が確実になるまで営業中止だそうです。

独裁政権から民主化になってまだ歴史が浅いルーマニアですが、ゆっくりでいいので少しずつでも国民が住みやすい国になっていけばいいなと思います。

 

著者/あーこ(「リトル・バレリーナ」連載。ルーマニア・ブカレスト在住)
はじめまして。ルーマニア・ブカレストでプロのダンサーをしていますあーこです。その前はヨーロッパのバレエ学校に4年通っていました。バレエのことや、ルーマニアのことなど、いろいろ書いて行こうと思います。

image by: Radu Bercan / Shutterstock.com

 

出たっきり邦人【欧州編】
スペイン・ドイツ・ルーマニア・イギリス・フランス・オランダ・スイス・イタリアからのリレーエッセイ。姉妹誌のアジア・北米オセアニア・中南米アフリカ3編と、姉妹誌「出たっきり邦人Extra」もよろしく!
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