【書評】みうらじゅんの「ビジネス書」は、なぜこんなに笑えるのか

 

さっそく、エッセンスをチェックしてみましょう。

私が名づけたブームのほとんどの名称は、水と油、もしくは全く関係がないものを結びつけるようにしています(中略)A+B=ABではなく、A+B=Cになるようにするのです。そしてAかBのどちらかは、もう一方を打ち消すようなネガティブなものにします

好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになる

私のやっていることは、ほとんどが「ない仕事」なので、先方から依頼がくることはほぼありません。「いま、地方自治体のマスコットが面白いんですけど、みうらさん、取材しませんか?」などと好都合な発注を受けることなど皆無です。なのでいつも私は、「こんな企画があるんですが、どうでしょう?」と雑誌やテレビ局に持ち込んでいるのです

ブームというのは、この「勝手に独自の意見を言い出す人」が増えたときに生まれる

第一印象が悪いものは、「嫌だ」「違和感がある」と思い、普通の人はそこで拒絶します。しかしそれほどのものを、どうやったら好きになれるだろうかと、自分を「洗脳」していくほうが、好きなものを普通に好きだと言うよりも、よっぽど面白いことになる

ブームになるものはかなりの確率で、言葉が略されています。昨今のヒット商品番付と呼ばれるものを見ても、「アナ雪」「朝ドラ」「ハリポタ」「壁ドン」「ビリギャル」「パズドラ」……と、略語が多く目につきます。つまり、「約められる」ことが流行のルール

私は、20年ほど前から、「海女」ブームがくるに違いないと思っていました。それは高校時代、よくエロ映画で見ていた3本立ての中に「海女」シリーズが含まれていたからです

私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです(中略)そもそも何かをプロデュースするという行為は、自分をなくしていくことです。自分のアイデアは対象物のためだけにあると思うべきなのです

「自分探し」をしても、何にもならないのです。そんなことをしているひまがあるのなら、徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をするほうが大切です。自分をなくして初めて、何かが見つかるのです

高級車を買うよりも高級ドールを買うほうが、不自然

原理原則が書かれたところでは、深く頷き、そうでないところでは思わず大爆笑してしまう。

そんな実用性エンタメ性のバランスが取れた、素敵な一冊です。

これはぜひ読んでみてください。

image by: Shutterstock

 

『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』

著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。

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