奇妙なプーチンとの「相思相愛」。米大統領候補が互いをほめあう魂胆

 

トランプは、いつから親プーチンに?

では、彼は「いつから親プーチン」になったのでしょうか?

トランプ氏は9月にテレビ番組で、「ロシアはISISを排除したいと考えており、われわれもそうだ。ならばロシアの好きにさせればいい。ISISを排除させるのだ。気にすることなどない」と発言。シリア内戦への米国の深入りを避けるとともに、ロシアによる主導権の掌握を許容すべきだと主張していた。(CNN.co.jp 12月18日)

トランプが、「プーチン支持」を鮮明にしはじめたのは、「ロシアがシリアのISを空爆しはじめた時」だったのです。

今まで本誌で何度も書いてきましたが、アメリカと有志連合の空爆は、ほとんど成果がありませんでした。

2014年8月から空爆を開始した。ロシアが空爆を開始した9月末までの1年1か月、ISは弱体化するどころか、ますます支配地域を拡大していた。これは、「アメリカ軍がロシア軍より弱いから」ではもちろんありません。

ISは、非常に残虐で困った存在ですが、反欧米のアサド政権と戦っている。だから、欧米は、「ISを反アサドで利用したい」という下心があるため、空爆が真剣ではない

※ ISにまつわる驚愕の事実は、こちらの記事をご一読ください。

●  プーチン激怒~ロシア軍機撃墜事件の「深い闇」
● パリ同時多発テロが起きるほどにIS膨張を許した戦犯は誰か?

トランプは、こういう状況に腹を立てていたのではないでしょうか?

正直いえば、アメリカ人にとって、「アサドがシリアの大統領か、別の人が大統領か?」など、どっちでもいい。しかし、ISが強力になり、アメリカでテロを起こすのは、大問題です。だから、トランプは、オバマが「ダラダラ空爆」でISとまったく真剣に戦わないことにムカついているのでしょう。

一方、プーチン・ロシアは、たった2か月の空爆で、大きな戦果をあげています。ISをアサドと戦わせたい欧米とは違い、ロシアには、「『親ロシア』アサド政権を守るためにISと戦う」という、二面性のない動機がある。だから、空爆も真剣なのですね。

そして、トランプがプーチン支持なのも、「奴ならISを本当に退治してくれるかもしれない」と思っているからなのではないでしょうか?

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