奇妙なプーチンとの「相思相愛」。米大統領候補が互いをほめあう魂胆

 

トランプは、ポピュリストか? リアリストか?

トランプは、テロに怯えるアメリカ国民の心理を巧みにとらえたポピュリストなのでしょうか? 彼が大統領になれば、過激な言動で大問題を起こしそうな気がします。しかし、一方で、とても「リアリスト的」である一面もみえます。

もう一度CNNの記事を。

トランプ氏は9月にテレビ番組で、「ロシアはISISを排除したいと考えており、われわれもそうだ。ならばロシアの好きにさせればいい。ISISを排除させるのだ。気にすることなどない」と発言。シリア内戦への米国の深入りを避けるとともに、ロシアによる主導権の掌握を許容すべきだと主張していた。(CNN.co.jp 12月18日)

「アメリカはシリアへの関与を大幅に減らし、ロシアにやってもらおう」といっている。実はこれ、リアリストの大家・ミアシャイマー・シカゴ大学教授と同じこといってるのですね。ミアシャイマーさんは、2014年末に来日された際、「あなたが国務長官になったら何をしますか?」という質問に、

IS問題を解決する

アメリカは関与を減らし、トルコやイラン、他の地域の大国にやってもらう(トランプは、「ロシアにやってもらう」といっているが、本質は変わらない)。

ウクライナ問題を解決する

ウクライナは、「緩衝地帯」「中立」ということで、ロシアと合意する、と語りました。

※ ミアシャイマーさんの名演説はこちら

そして、アメリカは、本当の脅威である中国との戦いに集中する。トランプは、「親ロシア」であると同時に、「反中国」なのです(ちなみに、トランプは「日米安保の片務性」について日本を批判しています)。

トランプは、ポピュリストなのか? それとも、リアリストなのか?

まだ何ともいえませんが、過激な発言の中に、「リアリスト的要素」が入っていることは、間違いありません。

今後の言動を注意深く見守っていきましょう。

image by: plavevski / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 奇妙なプーチンとの「相思相愛」。米大統領候補が互いをほめあう魂胆
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け