年が明けても日本征服の旅は続く、『ママチャリで日本一周中の悪魔』こと大魔王ポルポルさん。佐世保で護衛艦カレーをひとしきり満喫した後に向かったのは、常夏の南国・沖縄! 大魔王が喰らおうとしたご当地グルメ「沖縄そば」に入っていた、ちょっと意外な具材とは? そして、店員さんがこっそり出してくれた驚愕の“裏メニュー”とは!?
隠れた名店で食べる!絶品・卵焼き付き沖縄そば
「九州は寒い!! こんなところで野宿できるかっ!!」
九州に上陸して以降、門司、博多、佐世保と進撃を続けて来た大魔王ポルポル。ただ、いくら温暖といわれる九州でも、この季節になると夜には気温が一桁にまで下がる日もある。日々テントを張って野宿をしている大魔王ポルポルにとっては、厳しすぎる環境だ。
「我輩は大魔王である。寒さは平気であるが……念のため、暖かい場所へ移るとするか……」
大魔王ポルポルは魔族にも関わらず、インフルエンザを極度に恐れていた。過去には、ノロウイルスが原因とみられる吐き気や頭痛に見舞われ、危うく日本一周をリタイアしかけたこともある。
「はやく……南へ飛ばなければ、我輩の体が蝕まれてしまう……」
危機を察知した大魔王ポルポルは、佐世保から博多へと舞い戻り、福岡空港からはLCCを使って、南国・沖縄へ避難しようとしていた。
「がっはっはっは!! 南国の沖縄を“おきな魔”に変えてやるのだ!!」
空港での持ち物検査の際、なぜか誰も怪しんでくれなかったことに、ちょっとヘコんでいた大魔王ポルポル。しかし、ほどなく到着した南国・沖縄の華やかな雰囲気に、そんなモヤモヤとした気分もすぐに吹き飛んだ。
「あ、あつい……」
沖縄の気温は20度を越えていた。街を歩くニンゲンどもは半袖やジャージにサンダルという格好。ビーチでは泳ぐニンゲンすら現れる始末だ。
「がッハッハッハ!! なんと、沖縄は常夏であるのか!! 思った通り、ここなら我輩のライフスタイルを存分に発揮できるではないか! がッハッハッハッハ!!」
これなら心置きなく野宿ができると、大魔王ポルポルは上機嫌で那覇市へと歩を進めた。そこには、世界征服も“なんくるないさー”と思わせるような、のどかな街並みが広がっていた。
「ここから沖縄を“おきな魔”に変えるストーリーが始まるのだ!! がッハッハッハ!!」
道行くニンゲンが、ジロジロ見て何か話している。しかし、それは沖縄の方言のようで、何を言っているのかさっぱりわからない。
「ちっ! 何を言っているのかわからぬが……沖縄といえばソーキそばである。ちょっと食べてみるとするか」
そうつぶやき、大魔王ポルポルは街を歩き出した。
沖縄の住宅の屋根は低く、まるで紙粘土で作られたような家が多い。そして玄関には、一様にシーサーが飾られてある。
そんな街並みをぶらぶら歩いていると、大魔王ポルポルの目の前に一軒の怪しい沖縄そばの店が現れた。
手作り感満載のその店は、まるで普通の家のガレージに作ったような、ひっそりとした佇まい。クルマを飛ばして向かっていたら、つい見過ごしてしまいそうである。
「がッハッハッハ!! いかにも怪しい店だ! きっと魔族がひっそりと経営しているに違いない。がッハッハッハッハ!!」
大魔王ポルポルはのれんをくぐりながら、店の者を驚かせようと少し怒鳴り気味に声をかけた。
「がっはっはっは! この店は、我ら魔族が支配す……」
「いらっしゃい!! お好きな場所へ座ってください」
大魔王ポルポルの威嚇をしっかりと遮る店員さんの声。改めて店の中を見てみると、そこはいかにも“ご近所さん御用達”といった雰囲気だ。
「す、すみません。……ここって、やってるんですか?」
すっかりキョドってしまい、思わず確認してしまう大魔王ポルポル。
「大丈夫よ! あれぇ、面白い顔しちょるねぇ、きみー!」
「いや……まぁ、そうなんですよ」
大魔王ポルポルはそう答えて、少し照れた。
この店は、後方が住宅になっており、その家に住むおばあちゃんとおじいちゃんの2人が経営しているようだった。
「家の前に、そば屋を立てたのか。す……すごい」
思わず感心してしまった大魔王ポルポル。さっそく何か注文しようと辺りを見渡すと、とあるメニューが目に留まった。
「豚肉そば……卵焼豚肉そば……。たまごやき? いや“た魔ごやき”が、そばの中に入っているのか!」
そう思ったポルポル大魔王は、喜び勇んで「卵焼豚肉そば」を注文した。
「日本列島に攻め入って久しいが、卵焼きの入ったそばは珍しいのだ。過去には、瓦で焼かれたそばを征服したり、生卵入りのラーメンを征服したりしたものだが、ここ沖縄ではそばに卵焼きが入っているのか。ガッハッハッハッハ!!」
ポルポル大魔王がこれまでの激闘に思いを馳せていると、3分ほどで料理が早くも供された。……確かにそばの上には、豚肉の塊とともに卵焼きが乗っている。
「がッハッハッハ!! これが、沖縄のそばであるか。」
ポルポル大魔王は、どんぶりになみなみと張られただし汁を啜った。
「う……うまい!」
そう唸り、今度は麺を手繰り寄せた。
隠れた名店で食べる沖縄そばは、まさに沖縄らしい味わいを魅せてくれた。
「おぉ、これが沖縄の味であるか!」
我を忘れて食べ進めるポルポル大魔王。すると店員さんが
「タマネギの漬物は食べれるかい?」
と尋ねてきた。
「た……タマネギの漬物?」
疑問に思うポルポル大魔王を尻目に、店の後ろにある自分の家に帰っていく店員さん。しばらくすると、そのタマネギの漬物を手に戻って来た。なんでも、自分の家の晩御飯だったものを、余っていたということで少し分けてくれたのだ。
「がッハッハッハ!! さては、我輩をドラキュラと勘違いしておるのだな。がッハッハッハ!!」
そう思いつつ一口食べてみると、これが物凄く美味である。
「ん! 甘くて食べやすい」
半円に切って漬けてあるタマネギ。そのまま食べると苦いイメージがあるが、これは甘くておいしい。……しかし、それにしてもタマネギの漬物というのも珍しい一品だ。
「沖縄に来て早速、珍しいものとご対面することができた。がッハッハッハ!!」
胃袋が満足になった大魔王ポルポル。店名を聞いてみると、「若狭パーラー」という名前があるらしい。後で調べてみると食べログにも載ってあり、まさに魔族一押しの隠れた名所である。
「がッハッハッハ!! もうすぐ沖縄には、暗黒の闇が覆いかぶさるだろう」
故郷に帰ったようなその店に別れを告げた大魔王ポルポルは、日差しが降り注ぐ沖縄の街を再び歩きだした。
DATA:
若狭パーラー
住所:沖縄県那覇市若狭2-14-16
営業時間:10:00~18:00
定休日:木曜日
座席数:6席
『大魔王ポルポルの日本征服の旅』
著者/大魔王ポルポル
日本一周の旅をしている大魔王ポルポルである。旅の裏側、隠れた小話など話したいことは盛り沢山!! だがしかし! タダで公開はできない。メールマガジンで日本のいろいろなことを掲載するのだ。メルマガに記載のアドレスに悩みや質問を送ってくれればメルマガで公開回答するぞ! ガッハッハッハ!!
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