急ぎすぎた日韓慰安婦合意、日本は何を手に入れ、何を失ったのか?

 

「反日統一共同戦線」に対する日本の対応策は?

中国は、アメリカ、ロシア、韓国と、「反日統一共同戦線」をつくろうとしている。では、日本はどう動くべきなのでしょうか? 簡単ですね。中国が、日米、日ロ、日韓を分断しようとするのなら、をすればいい。つまり日本は、

1.日米関係をますます強固にしていく。米中を分断する。
2.日ロ関係を強固にしていく。中ロを分断する。
3.日韓関係を強固にしていく、中韓を分断する。

1.日米関係をますます強固にしていく。米中を分断する、について、安倍総理は、見事にされています。

2.日ロ関係を強固にしていく。中ロを分断する。こちらは、さっぱりですね。日ロ関係は、むしろ悪化しています。日ロ関係の「戦略的意義」を政府が理解していれば、会うたび会うたび、冒頭から、「島返しやがれ!」とはいわないでしょう(4島返還はもちろん重要ですが、現状「沖縄を奪われないこと」の方がもっと大事です)。

3.日韓関係を強固にしていく、中韓を分断する。日韓関係については、韓国側からの不当なバッシングがあまりに強烈なので、だれも「戦略的に日韓関係を良好にし、中韓を分裂させましょう」とはいいませんでした(私は、「日本自立のためのプーチン最強講義」(2013年)で書きましたが、そのうち「韓国はムリだ!」とあきらめていました)。

これが今回の日韓合意の戦略的意義」です。

中国は、韓国と共に「反日統一共同戦線」をつくっていた。この戦略に従って、全世界で「慰安婦問題」を大々的にプロパガンダしていた。今回の合意で、韓国は今後「慰安婦反日プロパガンダ」をしなくなる?

合意は、中国から韓国を引き剥がし、日米の側に引き入れた。結果、中国の「反日統一共同戦線」戦略は、破たんする。というわけで、間違いなく、「戦略的意味」はあるのです。

しかし…。いくら「戦略的方向性」が正しくても、いろいろ問題があります。

次回は、「日韓慰安婦合意」の「問題点」について触れます。

image by: 外務省

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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