そんなとき、安倍総理に「神風」が吹きます。そう、プーチン・ロシアが2014年3月、クリミアを併合してしまった。これで、アメリカは、日欧を巻き込んで「対ロシア制裁」を課す必要がでてきた。
安倍叩きは、ひとまずおさまりました。
しかし、中国の「反日統一共同戦線」戦略はいまも継続中です。中国は今年、「安倍談話」と「憲法改正」問題を大騒ぎすることで、日米を分断させようとしている。そして、今回の米議会演説については、保守派を支持基盤とする安倍総理ができないのを知りながら、「慰安婦問題で謝れ!」「アジア侵略について謝れ!」と圧力をかけていた。中国のプロパガンダに侵食されたアメリカサイドから、そういう要求がでていた。
安倍総理は、演説を前に再び苦境に陥っていたのです。
しかし、また「神風」が吹きました。それが、「AIIB」事件。
中国主導で設立される「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。アメリカが「入るなよ!」と命令していたのもかかわらず、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国などが入ってしまった。なんと57カ国が参加し、大国で不参加はアメリカと日本だけになってしまった。これで日本は、アメリカにとって、「唯一裏切らなかった忠実な友」になった。
中国は、「覇権を狙うアメリカの主敵」。
韓国は、「裏切り者」。
こういう「追い風」の中で、安倍総理の演説は行われたのです。
演説の目的は
2012年11月に明らかにされた中国の「反日統一共同戦線」戦略。プーチンロシアは、日本との関係を良好に保ちたいので、のらなかった。韓国は、喜んでプロパガンダの急先鋒をつとめている。アメリカは、AIIB事件前、かなり中国よりになっていた。結局、中国世界戦略の最重要課題は、「日本とアメリカを分裂させること」なのです。
GDP世界1のアメリカと3位の日本を分裂させる。そうすれば、尖閣・沖縄を容易に強奪できる。大きなところでは、中国がアメリカを蹴落として覇権国家になることができる。
中国の戦略の要=【日米分断】にある。
そうであるなら、日本の戦略の要は、【日米関係強化】にある(プラスアルファで、米中分断をするべきだが)。
というわけで、安倍演説の目的は、「日本とアメリカの関係を強化すること」だった。
「成功」か「失敗」かは、「演説によって日米関係が強化されたか?」で判断されるべきなのです。