お年寄りが不幸にしか見えない…日本中の悩みに石田衣良がズバリ回答

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仕事上、つらい境遇のお年寄りばかり見ていて悲しい、健康にポジティブに歳をとるのってどうしたらいいの? というお悩みが石田衣良さんのもとに届きました。そんな日本全体の悩みともいうべきものに、メルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』で回答しています。石田さんの考える「素敵な老後」とはどんなものでしょうか?

健康にポジティブに歳をとりたい!

Question

shitumon (1)福祉の窓口で働いています。特殊な環境で出会う高齢者だとは思うのですが、足腰を痛め、慢性疾患などで病院通いをしている方ばかりです。老眼で字もおぼつかなく、年寄りってどうしようもないという方ばかりです。健康にポジティブに歳をとるってどうしたらいいですか。

なお「結婚したらいい」という回答につきましては、子どもも孫もいるのに独居で経済的精神的交流のない人ばかり見てしまい、「ああ、子どもや孫に囲まれている高齢者は写真を撮るときしかいないんだな」と斜に考えてしまうようになったので、それ以外の回答でお願いします。

 

石田衣良さんの回答

これ日本中の悩みですよね。それと今、あなたは福祉の窓口にいるから、本当につらい人しか来てないんですよ。ただ、実際には元気でバリバリ旅行したりデートしたりしているお年寄りはいるので。今はちょっとバイアスがかかっているかもしれませんね。

男性の場合は結婚するだけで7歳も8歳も平均寿命が延びるといいますが、逆のパターンもあるんですよね。結婚しても不仲だと平均寿命が縮むという例もあります。それに、歳をとってから大きな病気をしたら、どんな健康法をやっても無駄なのね。そこはもう運です。それをわかったうえで、基本的にはストレスをためない適度な運動適度な食事をとる生活を送る。要するに腹八分目で軽く運動する生活が一番いいのは明らかなんだよね。それでも、例えば転倒して足の骨折ってしまったりしたらもうアウトなんで、運ですよ。ということは、そんな先のこと考えるよりは、今の自分が幸せになる方法を考えるほうがいいんじゃないですか。

「結婚はしたくない」というのは何となくわかります。でも結婚しなくたって、好きな男と付き合っておいしいもの食べて、今をバリバリ楽しく生きる。仕事で関わっている人達を見て、つらいのはわかりますよ。でも警察官だって、ずーっと犯罪者と付き合っているけど、「世の中犯罪者だらけだ」とは思わないですよね。だからあなたも、「年寄りはみんな不幸だ」と思わずに暮らしたほうがいいんじゃないかな。

歳をとっても元気なのは、何かを楽しめる、感動できる、美味しいと思える人たちですよね。歳をとると、そういう普段の感覚がどんどん磨滅していくので。喜べるとか、楽しめるっていう気持ちが大事だと思いますね。心が柔らかで若い人は、それが外見にも出てきます。

ぼくは昨日、パナソニックのシェーバーのイベントに行ったんですけど、100人の男性がいたんですよ。手を挙げてもらったら3分の2ぐらいがぼくより年齢が上だったんです。そこで話したのは、「歳をとったときほどくだらないことが大事だ」っていうこと。例えば、ファッションやそのときの流行を細かくチェックして、いつでも心を柔らかくしておく。結局心がカチカチになると、暮らしも、自分の身体もカチカチになるんだよね。昔からの趣味や新しいことでも何でもいいので、自分の楽しみを見つけて生きていれば、そんなには固くはなりません。

あなたは今31歳ですよね。あなたも今から趣味を増やすのはいいと思いますね。楽しい趣味を増やす、男遊びをする、美味しいものを食べる。それで、仕事は仕事と割り切って、「人間捨てたもんじゃない」と思うぐらいで、意外と楽しい老後に向かえる気がしますけどね。

source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」

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石田衣良石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……。
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信。週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?メールお待ちしています。
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