日本では何か大きな事件や事故が起こって責任問題に発展した時、決まって一番上の責任者が出てきますよね。場合によってはその責任者が自ら職を辞するのも珍しいことではありません。でもこれって日本独自のサムライ精神なのかも。無料メルマガ『知ってびっくり!地中海の不思議の国・バルセローナ』の著者でバルセロナ在住のsouyさんが、スペイン人の驚きの実態について教えてくださいました。
オレの責任じゃあないよっ!
ダラダラと長かった私たちのピソ(居住用ビル)の工事も、やっと終わったようです。なんと1年以上も、毎日ガンガン、ドンドン、ガリガリの連続で、繊細な(?)神経の我々日本人にはキツかったのなんの、まさにイライラも限界に来ていました。
その上ちょっと注文を出したりすると、彼らの答えはいつも、「そいつは他の奴に言いな!」とか、「それはオレたちの責任じゃないよ!」…ばかり。こっちは全員の顔を知ってるわけじゃないし、それに毎日会えるわけでもないので他のスタッフに連絡してくれたっていいのに、彼らは九分九厘そんなことはしません。
「そうなんですよ、川崎さん! (古い!、これは昔出演してたワイドショーのキャッチフレーズでした)ここスペインでは、デパートの店員も、役所の窓口も、みんなコレ。スペイン映画に出たときの撮影スタッフも、まったく同じだったんですよっ!」
はい、自己責任の回避こそが、スペイン人の得意技なのであります。
数年前スペイン西北部のガリシアで、新幹線(?)が大事故を起こしたことを覚えている人も多いことでしょう。急カーブの線路を200キロ以上のスピードで曲がろうとして脱線転覆、悲しいことに多くの人々が亡くなりました。
事故後、鉄道当局は事故の原因は運転手1人にあるとして、自分たちの責任を全面的に逃れて来ました。もし日本なら、こんな大事故の場合、運転手の上司、そのまた上司、さらには取締役など多くの管理者が頭を下げて謝罪し、何人かは免職になるでしょう。だいいち、この運転手を雇用した責任はどうなるんでしょうか?
その後何年も経って、あの急カーブの信号などもまっとうに機能していなかったのではないかという疑問が浮上し、鉄道当局の責任を追及するための裁判が行われました。
ところがなんと、先日裁判所はその訴えを却下したのです。もしかするとこの国は、鉄道当局も裁判所も政府もみんな結託して、組織の自己責任を回避しようとするのでしょうか。いったい裁判所って何のためにあるのでしょう?