中国は二度死ぬ。騙された世界の富裕層から怒りの反撃

 

だまされたことに気がついたソロス

ところが、ソロスの期待は、「アッ」という間に裏切られます。12年、既に彼は「反中」に転じていました。12年10月、「成長モデルが息切れしつつある」と発言。13年5月、中国の高利金融商品が、「サブプライムローン」に似ていると批判。14年1月、「中国の成長モデルはすでに力を失っている」と指摘。そして、2016年1月21日、ソロスは、また「あまりに率直な発言」で世界を仰天させます。

ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は時期尚早(2)
Bloomberg 1月22日(金)9時54分配信

 

(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏は21日、中国経済がハードランディングに直面しており、こうした状況は世界的なデフレ圧力の一因になるだろうと述べた。

 

同氏はまた、中国情勢を考慮して、自分は米株の下落を見込んだ取引をしていると説明した。

 

ソロス氏はスイス・ダボスでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ハードランディングは事実上不可避だ」と指摘。「私は予想しているのではなく、実際に目にしている」と語った。

中国の

「ハードランディングは事実上不可避だ!」
「私は予想しているのではなく、実際に目にしている!」

皆思っているけれど、怖くて口に出せなかったこと。それを、「ドカン」といってしまったソロス。この変貌ぶりはなんでしょうか?

「国際金融資本」が中国を「覇権国家」に選ぶ条件はなんでしょうか?そう、中国指導層が、「今後も国際金融資本のいうことを聞きつづけること」です。つまり、「国際金融資本」が描いていた構造は、

  1. 中国が世界を支配する
  2. 国際金融資本が、中国を支配する

であった。ソロスの発言を見ればわかるように、2010年頃までは、中国も、「それでいいですよ。いままでどおり、世界を支配してください。私たちは、いままで国際金融資本に従順でしたし、これからもそうありつづけることでしょう」と一貫してウソをつきつづけ、国際金融資本の信頼を勝ち取っていた。

ところが、ピルズベリーさんの本のごとく、中国指導層は、「俺たちが十分力を蓄えた暁には、国際金融資本など、駆逐してやる!」と考えていた。そして、2013年3月に国家主席になった習近平は、「もう俺たちはアメリカを越えた。もはや国際金融資本のいうことなど聞く必要はない!」と増長したのでしょう。それで、ソロスの態度が豹変したのだと推測できます(習近平が国家主席になったのは2013年だが、その前から中国は増長していた。アメリカもロシアも、「リーマンショック」後「1人勝ち状態」になった中国指導層の態度の豹変ぶり、増長ぶりに驚いていた)。

ここまでをまとめると、中国は、「もう国際金融資本に逆らってもいい」と判断し、実際そうした。ところが、その結果、中国経済はボロボロになってしまった。これが、今の世界で起こっていることの本質なのでしょう。

image by: Wikimedia Commons

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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