MAG2 NEWS MENU

遂に厚労省も目を光らせた、ブラック企業の固定残業代制度

もしもあなたの働く会社が固定残業代制度を採用しており、かつ適切な運用がなされていなかったら、ブラック企業の疑いが濃厚。ご自身の身を守るためにも、社会保険労務士の飯田弘和さんが配信する無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で紹介されている、この制度の正しい情報は必読です。

御社では、固定残業代制を採用していますか?

ブラック企業と結びつけて語られることの多い固定残業代制度。実際に、固定残業代制度のメリットはあるのか? なぜ、ブラック企業の多くが、固定残業代制度を利用するのか? 固定残業代制度は、本当に「悪」なのか?

私の個人的な意見としては、固定残業代制度を採用するメリットはありません。制度自体は「悪」ではないにしろ、ワルい企業に利用されやすい制度であることは間違いありません。

では、そもそも固定残業代制度とはどのような制度なのか? 固定残業代制度とは、法定の時間外労働に対する割増賃金を、「あらかじめ定額で支給する制度です。みなし割増賃金制度と呼んだりもします。

時間外労働に対する割増賃金については、労基法で定められています。労基法で定めている基準よりも高い金額を支払う分には、まったく問題ありません。労基法は、労働条件の最低基準を定めたものですので、労基法の定めよりも労働者にとって有利なものはOKです。

しかし、固定残業代の金額が法の定めよりも有利か不利かを判断するためには、通常の計算で行った残業時間が何時間あって、その割増賃金がいくらになるのかハッキリさせなければなりません。その金額と固定残業代の金額を比べて、固定残業代の方が高ければ合法となりますが、低い場合は違法です。低い場合には、不足分の金額を追加で支払わなければなりません

この「追加で支払う」ということをしないで、何時間残業させても固定残業代の金額以上支払わないのが、ブラック企業のやり口です。

通常、固定残業代制度のメリットとして、「賃金計算等の事務作業の負担軽減」などが挙げられますが、こんなメリット、全くありません! だって、今述べたように、従業員の残業時間(労働時間)をしっかり把握しなければいけないのですから! ちゃんと残業代(残業時間)を計算しなければなりません。

そして、その残業代が固定残業代よりも低くても、固定残業代を支給しなければならないのです。まったくの余計な支出です。このような制度を採用することに、合理性がありますか?

ですから、固定残業代制を採用しようなんて企業は、ブラック企業であると思われても仕方がありません。実際、多くのブラック企業が、この制度を悪用して、違法に残業代の支払いを逃れ、従業員を長時間労働で苦しめた挙句に使い捨てているのです。

この固定残業代制の悪用については、厚労省も問題視しているようで、固定残業代制を採用している企業のハローワークの新卒者向け求人に対して、次の1~3を、「募集時」に明示することを義務付けました。

  1. 固定残業代に係る計算方法
  2. 固定残業代を除外した基本給の額
  3. 固定残業時間を超える時間外労働等の場合、割増賃金を追加で支払うことの明示

以上のことを守らなければ、求人を受理してくれません。

厚労省も、ブラック企業対策の1つとして、この固定残業代制度に目をつけたのです。これからますます、固定残業代制度を採用している企業には、ブラック企業ではないかという「疑いの目」が向けられるでしょう。

御社でもし、固定残業代制を採用しているのなら、今すぐ止めるべきです。固定残業代制度があっては、優秀な人材を集めることが不可能となってしまいます。悪評判も立ちやすくなります。御社にとって、いい事など全くありません。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、固定残業代制を採用していますか?」

image by: Shutterstock

 

採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ

ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。
<<登録はこちら>>

 

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け