永田町にまた解散風。「衆参同時選挙」に誘惑される4つのシナリオ

 

そして(3)に至っては論外です。2020年の五輪の成功には大変な努力が必要なのに、デモとかお互いにやって大騒ぎしていては、「おもてなし」どころではないし、そんなことになるぐらいなら「近代化推進派のデモが、エルドアン批判で騒いでいた」イスタンブールで五輪をやった方が世界のためになったかもしれません。

それ以前の問題として、政治的対立エネルギーを改憲論争に使うのはダメです。構造改革のために痛みがあるのなら、その部分を直視して、ハッキリと捨てるべきものは捨て、切るべきものは切るための論争をやるべきです。

そんな「のんきなこと」をやっている間に、李克強首相の構造改革が「万が一」成功してしまうようなら、それこそ日本という国は消えてなくなってしまうでしょう。また中国の改革が失敗したら失敗したで、日本の経済社会には大きな痛みが来る危険があります。

安倍政権は第一次政権の失敗に鑑みて、改憲に手をつけるべきではないと思います。吉田茂がそうであったように、猪木正道氏がそうであったように、自衛隊は「芦田修正を自身の心の奥でしっかりと踏みしめて、黙って専守防衛の任務を果たす」存在だということ、それで士気を保てないような将兵は国家の「安全の保障」に反する存在だということを徹底して欲しいと思います。

image by: Wikipedia

 

『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋
著者/冷泉彰彦
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは毎月第1~第4火曜日配信。
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