MAG2 NEWS MENU

社労士に聞く、「仕事ができないからクビ」は本当にあるのか?

様々な形でノルマに追われる会社員。中には成績の悪い社員に解雇をほのめかす企業もありますが、能力のなさは解雇理由になるのでしょうか。現役社労士が配信する無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』に、被雇用者を守る法律が紹介されています。身を守るために知っておきたい情報ですよ。

御社では、能力不足による解雇を行っていませんか?

会社が解雇を行う場合に、絶対に考慮しなければならない法律があります。

労契法16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする。

この条文でいう「解雇」は、普通解雇であろうが懲戒解雇であろうが関係ありません。「解雇と名がつくものは全て、この条文の「解雇権濫用の法理」が適用されます。

そして、「解雇」を行う場合には、就業規則への具体的な記載も必要です。就業規則に解雇理由に関する記載がない場合、あるいは、記載されている理由に当てはまらない場合、「解雇」を行うことはできません。

では、就業規則に記載された解雇理由に当てはまれば、解雇を行うことができるのか? 就業規則の条文によくあるような「能力不足による解雇は「有効」なのかどうか?

これは、「能力不足」をどう判断するかにかかっています。能力不足で解雇が有効になるためには、いくつか考えなければならないことがあります。

  1. 労働能力が「著しく」劣っている必要があります。ほかの従業員と比べて、少しくらい劣っている程度ではダメです。「いつも勤務成績が下位10%内である」などという「相対評価もダメです(常に、下位10%に入る従業員は存在するので、それで能力が劣っている証拠にはなりません。「絶対評価」で行わなければなりません)。そして、その能力不足のせいで、「これ以上労働契約を継続していくことが、(客観的にみても絶対に無理でしょ!」という程度に劣っていなければなりません。
  2. さらに、その能力不足が向上するよう、会社は、「能力upの努力を行ったか?」も重要です。たいした教育や指導を行っていないのに、いきなり「解雇」は虫がよすぎます。
  3. そして、今後の指導・教育によっても、改善の見込みが極めて低いことも必要です。今後改善の余地があるようでは、解雇は認められにくいでしょう。

以上から考えると、「能力不足による解雇」は、極めて難しいのではないでしょうか? 御社がもし、能力不足による解雇を考えているのなら、「客観的な評価表」や「成績表」、教育や指導を行った証などを保存しておくことが重要です。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、能力不足による解雇を行っていませんか?」

image by: Shutterstock

 

採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ
ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。
<<登録はこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け