狙いは中国「孤立化」か。米国が、宿敵・キューバと和解した意味

 

世界の反米諸国と和解するアメリカ

08年9月、「リーマン・ショック」から「100年に1度の大不況」がはじまりました。これで、「アメリカ一極時代」は終わり、「米中二極時代」がはじまります。「二極」といいますが、アメリカは沈み、中国は昇っていきました。

オバマは2011年11月、「戦略の重点をアジアに移す!」と宣言します。理由は中国の台頭です。「シェール革命」で資源たっぷり「中東」の重要度が下がったことは、「アジアシフト」を可能にする大きな要因でした。

とはいえ、この大戦略変更は、スムーズに実現したわけではありません。2011年、中東の反米国家シリアで内戦が勃発した。アメリカは、反米アサド政権を打倒するために、「反アサド派を支援した。

2014年3月、ロシアがクリミアを併合。ウクライナは内戦状態になり、アメリカは親米反ロ新政権を支援。ロシアは、東部親ロシア派を支援し、ウクライナは「米ロ代理戦争状態」になりました。

しかし、オバマは、徐々にですが「大戦略」と「実際の言動」を一致させるようになってきました。

2015年2月、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランス首脳は、「ウクライナ内戦」の「停戦」で合意。この停戦は、今にいたるまでつづいています。2015年3月、「AIIB事件」。日本以外の親米諸国を含む57か国が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。このことは、アメリカを「本気」にさせます。2015年7月、アメリカ(+5か国)は、イランと「核問題」で「最終合意」に達したと宣言。2016年1月、イラン制裁は解除されました。2016年2月、アメリカとロシアは、「シリア停戦で合意。永遠につづくかと思われたシリア内戦に、脆いながらも平和が訪れています。

そして、アメリカとロシア。2015年3月の「AIIB事件」以降、米ロ関係は、非常にゆっくりですが改善されつつあります。実際、両国は協力して、イラン問題、シリア問題を解決した。そして、ケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は、つきあいはじめた彼氏、彼女ぐらいの頻度で会い、電話し、世界情勢に関する意見を交換しています。

そして、中南米反米の砦キューバ。2014年12月、アメリカとキューバは、「国交正常化交渉開始」を宣言。2015年4月、59年ぶりのアメリカ、キューバ首脳会談。2015年7月、アメリカとキューバ、国交回復。そして2016年3月20日、オバマ、キューバを訪問。

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