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社内不倫した「ゲス」な二人を懲戒処分にできますか?

年明けからセンセーショナルに報道されたタレントのベッキーさんと、バンド・ゲスの極み乙女の川谷絵音さんの不倫騒動。ベッキーさんは休業にまで追い込まれましたが…、話をぐっと身近に振って、「社内不倫」が原因でクビにされることはあるのでしょうか? 無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、実際にあった事例を元にしてこの問題に迫っています。

社内不倫は懲戒の対象になるのか

「ベッキー、ゲス川谷との不倫発覚!」

最近はその報道も下火になってきましたがちょっと前までは、あらゆるメディアで取り上げられ、大きな話題になりましたね。「不倫は法律違反」という法律論はさておきベッキーさんの行為には賛否があるようです。

私がそれについてどう思うかは需要も無いと思われますので省略しますが、個人的に気になるのがベッキーさんの今後の仕事に対する影響です。テレビ等のレギュラーは降板、以前は10本以上あったCMもすべて打ち切りになりました。CM打ち切りに対しては多額な違約金も請求されそうです。

このように、その不倫によって仕事に対し多大な影響が出てしまっています。では、この不倫が芸能人ではなく社員であったらどうでしょうか。社員が不倫をしていたらそれを理由として懲戒処分をおこなうことができるのか

それについて裁判があります。ある排水管工事の会社で、社員同士が不倫をしていました(妻子ある男性社員と独身の女性社員でした)。その噂は、社員の間ばかりでなく取引先にも知られるようになりました。そこで会社は「社内風紀のみだれを理由にその社員を解雇したのです。

その解雇に納得のいかなかった社員は「恋愛は個人の事情である」として会社を訴えました。では、その結果はどうなったか?

ベッキーさんの場合は、「レギュラー番組の降板」「CM打ち切り&違約金」です。同じように不倫をしたこの社員の訴えは認められるのか?

裁判の結果、会社が負けました。その解雇は無効」とされたのです。なぜか?

それは、「会社に具体的に損害を与えたとは認められない」からです。確かに、不倫は社会的には認められない行為です(これは、この裁判でも認められています)。ただ、その不倫によって会社の運営に具体的に支障を与えたとか売上が減ったとか、そのような事実はありませんでした。これが裁判で無効とされた理由です。これは、別のバス会社の裁判でも「会社の運営とは関係のない私生活上のことである」として懲戒事由に該当しないとされました。

ただ逆に、不倫が懲戒事由としてすべて認められないかというとそうではありません。ある飛行機会社での機長と主婦の不倫や、ある学校での教師と元教え子の不倫は懲戒事由として認められています

では、もし自分の会社で社員が不倫をしていたらどうしたら良いか? その場合は、いきなりの重い懲戒処分(解雇等)は避けておいたほうが良いでしょう。本人と面談をして注意指導をしていくほうが無難です。ただし、その行為が他の社員の業務を妨害したり風評により売上などに直接影響を受けるなどであれば懲戒処分の対象にもなり得るでしょう。

恋愛が個人の自由とは言え、「業務に支障を与えない」ことが優先されることは言うまでもありません。社員にその意識を持ってもらうように日頃から指導、教育を徹底するようにしましょう。

image by: Shutterstock

 

「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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