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ロシアは隠れ「親日」国家。モスクワ在住26年の邦人が語る驚きの事実

解決からはほど遠い北方領土問題などで緊張状態にある日ロ関係。しかし無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、ロシア留学時に一番驚いたこととして、「ロシア人が皆親日だったこと」を上げています。この記事を読めば私たちの「ロシア観」、そして「自虐史観」も変わるかもしれません。

ロシアは、世界有数の「親日国家」なのか?

読者の鳥人さまから、こんなメールをいただきました。

「ロシアって、世界有数の親日国だった」って、本当でしょうか。

 

いつもメルマガ拝見させていただいている鳥人と申します。ロシアが親日国である、それも、「世界有数の」という認識って私のみならずほとんどの日本人にはないと思います。

 

親日国というと、一般的にはまず「台湾」と、最近では「インドネシア」やその他のアセアン諸国…という認識であろうかと思いますが、ロシアが親日国とは。

 

私の認識では日露戦争での恨みを持ち続け、それを大東亜戦争の終戦直前に不可侵条約の一方的反故とシベリア抑留者に対する非人道的な扱い、そして、現在に至るまでの北方領土の占拠…。そして、最近では中共の反日戦線への協力や、抗日パレードの開催や中共式典への参加…。これのどこが「世界有数の親日国」なのでしょうか。
(以下略)

鳥人さまの「ロシア認識」、日本ではきわめて一般的だろうと思います。説明が必要でしょう。まず、この鳥人さまが、この質問を送ってこられた背景から。3月12日号で、「中国との情報戦争は、すでにはじまっている」という話をしました。

2.戦争に「情報戦争」も含めた場合

軍事力を使うだけでなく、「情報戦」も戦争に含める場合があります。このケースでは、「戦争はすでにはじまっている」と考えられます。もちろん、はじめたのは日本ではなく、中国です。日本は「情報戦=戦争」を考えないので、「サンドバック状態」にある(例えば、中国は最近、国連で、「女帝を認めない日本の皇室は、女性差別だ!」という運動を開始しています)。

 

では、いつ「情報戦争」は、はじまったのでしょうか? 2012年11月にはじまったのです。なぜはじまったのでしょうか? 2012年9月、日本政府は、尖閣を「国有化」しました。これに中国が激怒して、「情報戦」を開始したのです。

 

とはいえ、目標は、情報戦にとどまらず、「尖閣のみならず沖縄を中国領にすること」にあります。昔からの読者さんは、もう聞き飽きていますね。そう、「反日統一共同戦線」戦略のことです。2012年11月、モスクワを訪問した中国代表団は、今後の「対日戦略」を明らかにしました。「平和ボケ」している日本人には、まったく想像もできない驚愕の戦略です。骨子は、

 

  1. 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
  2. 中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
    日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本に「沖縄」の領有権はない!
  3. 中国、ロシア、韓国にとどまらず、【アメリカ】を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これ、新しい読者さんは、「トンデモ陰謀論」と思うでしょう? 証拠のページをはりつけておきますので、必ずご一読ください。いえ、日本人には想像もできない内容ですから、10回ぐらい読んで「事の重大さ」を理解してください。

 

反日統一共同戦線を呼びかける中国

メルマガでは、「孫子の教えを使って、中国の戦略を無力化させる方法」について解説しました。

「最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立化させることである」

どうやって?

私たちは、すでに中国の謀略、策謀を知っています。骨子は、

 

  1. 中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
  2. 中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
    日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本には「沖縄」の領有権はない!
  3. 中国、ロシア、韓国にとどまらず、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これは、中国の「戦略」であり、「謀略」「策謀」です。無力化させる方法は、簡単ですね。中国が「反日統一共同戦線」をつくりたい、アメリカ、ロシア、韓国と強固な関係を築いていけばいい。本当に簡単でしょう?

 

上にも書きましたが、皆さん、最近中国少しおとなしくなったでしょう? 「景気が悪くなってきたから」と思うでしょうが、実際は2015年5月からよくなってきました。3,000人の訪中団が大歓迎された。なぜか? 安倍さんが、知ってか知らずか「孫子の教え」に従い、「アメリカを反日統一共同戦線にひきいれる」という中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」からなんです。これで、日中戦争(実戦)の可能性は、だいぶ減りました(中国も、日米と戦争するほど馬鹿ではない)。

 

そして、韓国との電撃和解。さまざまな問題はありますが、孫子の観点からすると、中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」ともいえます。

 

残るはロシアですね。日本と米韓の関係はよくなっていますが、日ロ関係は、ますます悪化しています。会うたび会うたび「島返せコラ!」などといわず、もっと戦略的に考えてほしいと思います。

 

「島返せ!というのは当然」と皆さん思うでしょう。そのとおりです。しかし、日本政府は、世界有数の「反日国家」韓国に対し、「竹島返せコラ!」とは決していわない。その一方で、世界有数の「親日国家」ロシアに対しては、「島返せ!」以外の話はほとんどしない。だから、ロシア政府は、どんどん反日になっているのです。

 

実際、ロシアが日米側につけば、中国と戦争が起こる可能性は、ほぼゼロになることでしょう。

この最後の方のフレーズ、

日本政府は、世界有数の「反日国家」韓国に対し、「竹島返せコラ!」とは決していわない。その一方で、世界有数の「親日国家」ロシアに対しては、「島返せ!」以外の話はほとんどしない。

を読まれた鳥人さまは、

「ロシアは、世界有数の親日国家なのか~~!!!???」と疑問をもたれたのですね。その気持ちわかります。日本で「ロシア」といえば、「北方領土問題シベリア抑留」以外ほとんど何も浮かばない人がほとんどですから。

私が「自虐史観」から脱却した理由

私は1990年、モスクワ国際関係大学に留学しました。それで、一番驚いたのは、「ロシア人が親日だったこと」です。ロシアは、当時「共産ソ連」だった。だから、日本を「日帝」などとよび、嫌っているのかと思っていた。

しかし、全然違っていました。ロシア人だけでなく、世界中から来ている留学生たちも、みんな日本が好きでした。その後、いろいろ旅行しましたが、どこにいっても「日本人というだけで歓迎されました

私は、「日本は悪い国。日本人は悪い民族。全世界が日本を嫌っている」という「自虐史観」は、間違いであることに気がついた。それで、メルマガや本で、「自虐史観は捨てましょう」と書いています。

なぜロシアは親日なのか?

その後私は、「なぜロシア人は親日なのだろう?」と思い、注意して話を聞くようになりました。理由は、いろいろあります。

1.日本高品質製品のパワー

私が来た1990年代初め、ロシア人は、「日本の家電で家を埋め尽くす」ことを夢見ていました。当時、日本の家電を自由に買うことはできなかった。しかし、その品質の高さは、「伝説」になっていたのです。「日本車は?」と思いますね。日本車については当時、あまりにも遠すぎて、「夢にも思えない状態」だったのです。

その後、残念ながら日本の家電業界は、衰えました。しかし、いまだに「日本製品は超高品質」という信用は保たれています。

2.日本は、「理想の国」?

これは、大学の教授などからよくいわれました。ロシアは、当時ソ連だった。そして、共産ソ連が目指したのは、「万民が平等で豊かな国」だった。ところが、事実は「万民が平等で、『貧しい国』」になってしまった。

日本は当時、「90%の人が、自分のことを『中流』と考えている」非常に「豊か」で「平等」な国でした。世界の共産国家の人たちは、「おお!私たちの理想が日本で実現しているぞ!!」と驚嘆していたのです。

3.日本文化への憧れ

「金儲け」を最上の価値におかなかった共産国家ソ連。人々は、きわめて文化的な生活を送っていました。子供の頃からプーシキンの詩を暗記させられる。そして、バレーやクラシック音楽、スポーツなどの分野で、異常な強さを誇っていました。そんな彼らは、日本の「武士道」「」「俳句」などに興味をもち、一種の憧れをもっていました。

最近も、友人の誕生会に行ったら、友達の友達が、「芭蕉の句」をロシア語で披露しました。「北野知ってるか?」と聞かれ、知らなかったので恥ずかしかったです(涙)。他の人が、「歌舞伎の歴史」について話しはじめたので、私は速攻話をそらしました(笑)。

思いつくまま挙げましたが、ロシア国民が親日なのは当時も今も変わりません

image by: President of Russia

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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