サミット期間中の東京は要警戒?ベルギー連続テロが他人事ではない理由

 

テロ組織や過激派集団からすれば今年のサミットは格好のアピールの舞台と捉えるかもしれないのだ。開催地は三重県の伊勢・志摩で首脳たちの警備はしやすいといわれている。しかし、テロ集団は別にサミット会場を狙わなくてもよいわけでサミット開催を混乱に陥れれば目的を達するのだ。

思い出すのは2005年にイギリス北部のグレンイーグルズで開かれた第31回サミットだ。警戒は厳重でサミット記者証をもらっていても会場到達までにいくつもの検問所があり、苦労した覚えがある。会期は7月6日から8日までの3日間となっていたが、7日にグレンイーグルズとは遠く離れたロンドンで地下鉄とバスが同時に爆破されたのである。56人の死者と約700人の負傷者を出した。このため、ブレア英首相(当時)は、一時ロンドンに戻り、その間ストロー英外相が議長代理を務めるという異例のサミットとなった。

議事は予定通りに進められ8日に閉幕したが、参加していたG8及び新興国5ヵ国の首脳が共同でテロの非難声明を出した。ブレア首相はその日のうちにロンドンから戻ったが、サミットは混乱したし、取材していた記者団たちの半分位はサミットを抜けてロンドンテロ取材に向かった。メディアはどの国もロンドンのテロを大きく扱いサミットは吹き飛んだ格好となってしまった。

伊勢・志摩サミットはベルギーのテロなどの余韻が冷めやらない時期に行なわれることを考えると、首脳会場よりも東京が標的になることも考えられる。日本はテロ報道は多いものの、まだまだ他人事といった感覚だろう。

2000年以降、新興国もサミットに参加するようになり、合意形成が難しくなって強力な声明、実行・実現案が出せない首脳会議となり、その存在感はどんどん薄れてきているのが実情だ。しかし、今年のサミットはテロと世界不況という全世界共通の大きな課題を抱えることになってしまった。安倍首相が無難に議長を務めればという姿勢で臨むようだとサミットは国際社会の中でまた一段と格を下げよう

image by:  CRM / Shutterstock.com

 

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