これは、クルーグマンが考えたわけではなくて1997年にジョーン&リチャード・スウィニーが考えた話です。
「金融理論と大キャピトルヒル子守共同組合の危機」という題名です。
これは、議会職員から成る若いカップル150組の話で、ベビーシッター代を節約するために、職員の間で、交代で子どもの面倒を見ようと言うものでした。
そして、共同組合はクーポンの運営で成り立つものとしました。
共同組合に参加した夫婦はまず20枚のクーポンをもらいます。
そして、1枚のクーポンで子守り30分を行ってもらえます。
クーポンを使った夫婦は、子守りをしてくれた夫婦に、クーポンを渡し、今度は子守りをした夫婦が、クーポンを使えます。
150組とかなりの数がいるので、かなりの確率で、好きな時にクーポンを使えます。
しかし、このシステムはやがて困ったことになりました。
多くの夫婦たちは、
「お葬式や、結婚式など、急に用事ができて必要な時に備えて、クーポンを貯めておこう」
と考えだします。
すると、流通するクーポンの数が、激減してしまったのです。
何故こんなことになってしまったのでしょうか?
夫婦たちは、万が一の事態(お葬式や結婚)のために、クーポンを貯めるようになりました。
すると、手持ちのクーポンが安心できる水準まで増えるまでは、外出しなくなってしまったのです。
しかし、外出する人が減ってしまったため、クーポンを得る機会もなくなってしまったのです。
すると、クーポンがない人たちは、ますます外出したがらなくなり、そして、子守りの量自体が激減してしまいました。
これは、いわゆる不況の状態です。
ではどうやって解決したのか?