会社が負けました。
そのポイントは「学生の立場」にあります。実は、この内定者の学生は、最初は内定者懇親会や入社前研修に参加をしていました。ところが、その懇談会や研修でレポートや課題をたくさん出され、この学生の卒業のための論文作成に支障をきたすようになってしまったのです。この部分を、裁判所は「学業を阻害してはならない」としてこの学生の言い分を認めました。
さて、いかがでしょうか?
おそらく、みなさんの会社でも、内定者に対する入社前研修を行っているところが多いでしょう。そして、その参加もほぼ「強制」になっているのではないでしょうか。ただ、この裁判のように、その参加を「強制」することはできないのです。
とは言え、入社後になるべく早く一人前になってもらうには入社前研修もとても重要です。では、どのように行ったら良いか?
そのポイントは3つあります。
まずは、頻度や内容を参加しやすいものにすること。今回お話した裁判のように、参加する学生が負担に感じるようでは参加してもらうのは難しいでしょう。また、なるべく実務的な研修が教育には良いのはわかりますが、学生が参加したいと思えるような多少は「楽しみ」のある内容にするのも1つの方法でしょう。
2つ目が、採用の段階で「入社前研修に意欲的な人材」を選ぶことです。採用の条件を「入社前研修にすべて参加できること」と明言してしまうのは問題ですが、「入社前研修に意欲的な人材」を社内的な採用基準にするのであれば、問題はありません。学習熱心な学生は、むしろ入社までに研修を受けて成長したいと思っている場合も多いでしょう。そういった学生を選ぶようにするのです。
最後の3つ目は、入社前研修と少し話はズレますが、早く一人前に育てるという意味で入社日自体を早めてしまうことです。
※ご参考「『ユニクロ』一足早い入社式」
ただし、それに対する批判もあるようですね。
※ご参考「1か月早い『3月入社式』への風当たり 『ブラック企業』批判も出てきたが…」
入社前研修が重要なのは、私も人事を長いこと経験してきましたので充分わかります。ただ、そのやり方には工夫が必要ですね。
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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