元関脇・旭天鵬インタビュー。まげ姿でNYに登場した理由とは?

2016.04.23
by erihiro(まぐまぐ編集部)
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乗り越えてこられたのは家族の存在があったから

モンゴル力士のパイオニアで「角界のレジェンド」と呼ばれる元関脇・旭天鵬の大島親方。昨年夏に引退し、5月の断髪式を前にニューヨークを訪れた。4月1日にレストラン「AZASU」で行われたイベントに参加し、集まったファンに大島部屋のちゃんこ鍋を振る舞った。イベントの合間に、これまでの軌跡や相撲への思いなどを伺った。 (聞き手・高橋克明)

まげ姿でNYに登場

ーニューヨークは初めてとお聞きしました。

大島親方 初めてなんです。だから、こっちの人が「ちゃんこ」というものを、どこまで知っているのか、全く分からなかったし、どこまで受け入れてくれるのか、不安でしたね。

ー実際、試食イベントを終えられて、ニューヨーカーの反応はいかがでしたか。

大島親方 多分、いいんじゃないですか。

ちゃんこに限らず、今、日本食ブームがきてるじゃないですか。

そこに便乗してね(笑)。

お相撲さん、こういうの食べて、体作りしてるんだぁ、って知ってもらえたらうれしいですね。

ー親方にとって、ちゃんこの魅力はなんでしょう。

大島親方 まぁ、これだけ具材が入ってるのって、家庭でもなかなか作れないんじゃないかな。

野菜も含めて、豚とか、鶏とか、魚とか、いろんなものが入ってバランスもいいと思うんですよ。

牛肉は入れないからヘルシーだし。

それでも毎日食べると、こんな(体)になるみたいなね(笑)。

僕はちゃんこを毎日、食べて育ったんで、僕の一部みたいなもんです、はい。

ー毎日。………飽きませんでし

大島親方 (かぶせて)飽きますよ! 

そりゃあ(笑)。

20数年、毎日食べてるんだから。

今の奥さんと当時、付き合ってた時、電話で「晩ご飯何がいい?」って聞かれたんですよ。

なんでもいいよ、って答えたんですけど、帰ったら鍋だったんです。

「なんで、鍋なんだよ!」って。(笑)

ーなんでもいいよ、って答えたから。(笑)

大島親方 その時にね、あー、部屋以外で鍋食いたくないんだなぁオレ、って気付きました。

奥さんも怒って、それ以来二度と作ってくれなくなったけど(笑)。

まぁ部屋で食べるのはもう仕方がないにしても、(みんなで)「ご飯行こう!」ってなって鍋を食べに行くことはないですよね。

ーなるほど。

大島親方 おいしいんだけどね。

だから飽きないために、(ベースの)味(付け)が、5、6種類あるんですよ。

しょうゆ、味噌、塩、ポン酢、キムチと、いろいろね。ニューヨーカーには、味噌(が合う)かなぁ。

僕が個人的に好きなのは塩(味)。

でも、寒い時はキムチ(味)とか食べたくなるしね。

ー結局、大好きじゃないですか。(笑)

大島親方 大好きなの。だけど嫌いなの。(笑)

ーちなみにちゃんこ以外で親方の好きな食べ物は?

大島親方 僕はね、好きな食べ物っていうより、嫌いな食べ物がないんですよ。

でも、まぁ、もともとモンゴルなので、どうしても、やっぱり肉が好きですね。

ーそれではこちらの本場のステーキも。

大島親方 食べに行くでしょうね(笑)。

これからね。

日本でもおいしいステーキは食べられるけれど、本場のこっちと食べ比べしたいとは思います、はい。

ー初めてのニューヨークの街並みの印象はいかがですか。

大島親方 見事に疲れましたよ(笑)。

今までテレビでしか見たことなかったし、でも、もっと大きい街の印象がありましたね。

いまだに観光しきれてないんだけど。

ー親方は30代半ばで優勝したことや幕内史上1位の出場回数で「レジェンド」とも言われています。

大島親方 いやいや、全然そんなんじゃないですよ。

ーでも、当然、日本に来られた時は日本語は話せませんでしたよね。

大島親方 全然分からない。

苦労しましたよ、やっぱり。

でも、もう24年いるんでね。

ー普通にペラペラですよね。どうやって乗り越えられたのでしょう。

大島親方 最初は稽古で教えてもらっても、何を教えてもらってるのかが分からないし、怒られたとしても、なんで怒られてるかが分からない。

ほめられても、どこをほめられてるのかが分からなかったしね。

やっぱり言葉をしゃべれないってホームシックになりますよ。

ーそうですよね。

大島親方 だから実際に1回モンゴルに帰ったしね。

半年で。

で、また戻ってきた時には、やっぱり何をするにしても言葉が先だって分かったし、まぁ僕は学校とか行くより、実際の生活の中で覚えるタイプだったんだけど、(それでも日本語)学校行ったら丁寧に教えてくれるじゃない。

でも、最初の覚えたての時は、先輩にも平気でタメ口でしゃべっちゃってました(笑)。

1年くらいかな、視野が広がってきて、人に相談もできるようになって、気付いたら覚えてましたね。

ー1年で!

大島親方 部屋にもルールがあったんですよ。

モンゴル語しゃべったら罰金とかね。一言3000円(笑)。

部屋には6人いたんですけど、すぐに7、8万円貯(た)まって(笑)。

それでみんなで飯食ったりとか。

あとはカラオケで覚えましたね。結局、恥ずかしがらずにしゃべるっていうのが一番の秘けつかな。

間違ったら恥ずかしいじゃないですか。

でも、それでも構わず、しゃべる。それが一番だね。

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