元関脇・旭天鵬インタビュー。まげ姿でNYに登場した理由とは?

2016.04.23
by erihiro(まぐまぐ編集部)
 

ー言葉や習慣の違いも乗り越えてこられた理由は何でしょう。

大島親方 んー……どうだろうね

やっぱり家族の存在じゃないですか。

僕は長男だったんで、日本に来る時も大々的に送り出されたんですよ。

ヒーローみたいな感じでモンゴルから送り出された。

そこから簡単に「嫌です」って帰るわけいかないじゃん。

相撲を取るたび、毎回毎回、向こう(の新聞)で取り上げられたりもしてたしね。

あとは歳の近い仲間もいてくれたし。

歳が近い分、周りのみんなに負けたくないって気持ちもあったから。

ー現役時代、一番思い出に残っているエピソードは何でしょう。

大島親方 そりゃいっぱいありますよ、長くやってれば。

でも一番って言われたら、やっぱり優勝した時じゃないかな。

優勝ってなかなかできないし、その中で37歳8カ月っていう年齢で優勝できたんで。

ーやっぱり、優勝した瞬間は忘れられないですね。

大島親方 それは、もう。前の日寝れなかったしね。

みんな電話してきて「頑張れ! 頑張れ!」って。

寝たいのに(笑)。

あの優勝トロフィー(賜杯)を持って帰りたいって思うと、さらに眠れなくなって。

だからウイスキー飲んで、ベロベロになって寝たんです。

ー優勝決定戦の前夜ですか!?

大島親方 今考えたら結構無茶だよね(笑)。

でも逆にオレには良かったんですよ。

おかげで翌日、いい相撲が取れた。

でも、そのことを普通に優勝インタビューで言っちゃったんで、みんなに笑われた。(笑)

ー日本に帰国されると、いよいよ断髪式が待ってます。今はどういったお気持ちですか。

大島親方 いや、もう、早く切りたいと思ってる。

着物の時はいいけど、この格好(スーツ)だと違和感あるでしょ。

ーいや、カッコいいです。

大島親方 うそだよー(笑)。

20数年ちょんまげだったんで、もうそろそろいいかな。

ーでも、断髪式の当日には、感慨深くなりますよね。

大島親方 もちろん一大イベントですからね。

本当に最後のイベントですから。

今までも昇進したとか、結婚したとか、いろいろなイベントが(相撲取りとして)あったけど、これが最後のイベントなので、なんとか無事に終わらせたいですね。

ーはい。

大島親方 たださ、髪形に悩むよね。

ーあ。切った後の。

大島親方 そう。

この2カ月間、いろいろとどうするか考えてて。

それが楽しみでもあるんだけど。

ーそれでは今後の親方の夢はなんでしょう。

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大島親方 まぁ、せっかく今まで相撲と絡んできた人生だったんで、最後までこのまま行きたいと思うし、自分の部屋を持ちたいですよね、いつかはね。

自分が相撲取りを育ててみたいっていうのはあります。

自分が入ってきた時のことを思い出して、自分が経験したことを、新しい力士たちに教えてあげたいね。

ー最後にニューヨークで頑張っている日本人にメッセージをお願いします。

大島親方 アドバイスなんてエラそうなことは言えないけど、自分が優勝した時って、相撲をやって20年経(た)ってからだったんですよ。

だから、何事もコツコツやってればいいことがあるんだなぁって思いました。

コツコツやっていい結果が出た時、自分は相撲を辞めないで良かったなって。

あの優勝のおかげで、いろんな人に名前を知ってもらえたんですよ。

だから、そこからまた3年ぐらい相撲取れたし。

僕の中で大きな出来事でしたね。

それまでは何度も辞めようって。

もう何回も思いました。

だいたい相撲取りって三十三、四(歳)で辞めるから。

それを引き止めてくれたのが家族だったり、奥さんだったり。

で、結果的にあの優勝まで行けた。やっぱりコツコツやれば絶対いいことあるなと思いますね。

何事も諦めずにコツコツ続けてほしいです。

インタビューの舞台裏はこちらから

大島勝(おおしま・まさる)(しこ名:旭天鵬=きょくてんほう)
職業:相撲親方 1974年生まれ。モンゴル国ウランバートル市出身。現役時代の体格は身長191センチ、体重161キロ。最高位は関脇。92年に大島部屋へ入門。大相撲史上初のモンゴル出身力士の1人。2003年7月場所で西関脇に昇進。14年に史上2人目となる通算出場1800回を記録。翌年3月場所で史上最高年齢40歳8カ月10日を記録。同年7月場所で現役引退を発表し大島親方を襲名。友綱部屋所属。断髪式は5月29日に東京の両国国技館で行われる。戦歴92794422休(140場所)、幕内最高優勝1回、三賞7回、敢闘賞7回、金星2個。史上最年長三賞受賞記録を56年ぶりに更新。昭和以降では史上初となる40歳代での三賞受賞ならびに幕内での2桁勝利を記録している。角界のレジェンドと呼ばれる。趣味はゴルフ。

 記事提供:ニューヨークビズ

 

『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」「ニューヨーク ビズ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事「ガチ!」を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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