失明の恐れも? 「池で泳いではいけません」の科学的理由

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じめじめ暑い日が続くと、大人でも“水遊び”を思わずしたくなるもの。しかしプールや海が遠いからといって、近くにある汚い池などで泳ぐと、とんでもないことになっちゃうよと、不良科学者・くられ氏は自身のメルマガで、真面目に警鐘を鳴らしています。

池で泳いではいけない理由

これからのシーズン、あちこちでパシャパシャと水遊びをしたくなります。子供なんかは特に多少汚れていても、バシャバシャ入っていってしまいます。自分も、ヒシの多い茂る池で腰まで使って虫取りをよくしていました。

しかし、顔や口にそうしたよどみの水が入るような状況は、年齢を問わずあんまりよくありません

理由は汚いからです。

さて、この“汚いから”の理由を明確に説明するのが、今回の話です。

まず、池の水には汚染物質が溜まりやすいといえます。流れ込むのはだいたい小川、そこから供給された微量の成分も、池の表面積で蒸発して濃度が上がります。

汚染物というのは、人間が作り出したものもありますが、微生物が生産したものもかなり含まれます。特に、藍藻類が作り出す成分、かび臭さのジェオスミンはまだ無害なほうで、ミクロシスチンなどのシアノトキシンが含まれていることがあります。

こちらは結構強力で、家畜が水を飲んだだけでそのまま昏倒死したり(神経毒)、また肝臓が腫れ上がって斃死(肝機能にダメージを与える毒)などなど、人間の誤飲はあまりないので、事例は少ないですが、池の水はそのままでは飲まない方がいいということです。

また、アカントアメーバなどの原虫の数も多く、人間の粘膜、特に目に入って、アカントアメーバ角膜炎を起こすことがあります。アカントアメーバはどこにでもいる微生物で、細菌を栄養源としているアメーバですが、これが細菌のかわりに人間の角膜をもしゃもしゃ食べるので、視力低下や失明なんてこともありえます。

また治療薬は、内服薬と点眼で、非常にキツい副作用が特徴で、特に目薬は、アカントアメーバの激痛をさらに上回る激痛で、それを毎日何回も点眼しなくてはいけないというもの。

基本的には角膜にキズが無ければ滅多なことでは入り込まないのですが、池や川遊びをしたあとは、よく手をあらって、顔や目も綺麗な水道水でよく洗いましょう

著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。まぐまぐ!からは、無料メルマガ「アリエナイ科学メルマ」を絶賛配信中。
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