40代からの「目の生活習慣病」。セルフチェックの方法は?

2016.05.23
by Mocosuku
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「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」をご存知ですか?

昨今の日本では急激に増えてきており、69万人もの患者さんがいると言われています。

「加齢」という名前から高齢者の病気と思われがちですが、40代でも発症することがあり、生活習慣が原因となってこの病気にかかることも多く、別名「目の生活習慣病」とも呼ばれています。

ふだんの生活でも自己チェックをして早期発見につなげましょう。

加齢黄斑変性とはなに?

加齢黄斑変性の代表的な症状は、物がグニャッとゆがんで見えたり、視野の中央が暗かったり黒くなって、見えにくくなり、視力が急激に低下するなどがあります。

これは、目の奥にある網膜の中心部の「黄斑」が障害されるために起こります。

黄斑には、物の色、形、大きさなどを感じる視細胞がたくさん集まっていて、物を見るのにとても重要な部分です。ここに障害が起こると、視力に大きく影響するのです。

加齢黄斑変性の治療法は?

加齢黄斑変性には「滲出型(しんしゅつがた)」と「萎縮型(いしゅくがた)」という2つのタイプがありますが、日本人に多いのは「滲出型」です。

網膜の外側の脈絡膜から異常な血管(新生血管)が伸びて、出血したり、水分が漏れたりして黄斑を傷つけるのです。

治療としては、新生血管を成長させないよう、目に直接注射をする方法があります。

白目の部分に針を刺して、硝子体に薬を注入するのです。外来で治療を受けられますが、1~2か月ごとに注射をして、1回あたりの費用は保険適用で3割負担でも5~6万円ほどかかります。

またレーザーを使った治療もあります。

薬を点滴して、特殊なコンタクトレンズの上からレーザーを照射して、新生血管を退縮させ、焼灼(焼きつぶす)する方法です。

自己チェックで早期発見、コレを試して!

加齢黄斑変性をセルフチェックするには、「アムスラーチャート」とよばれる、碁盤の目のように格子状の線が描かれた図を使う方法がよく知られています。

日常生活でも次のような方法でチェックすることが可能です。

□ 障子の桟、窓のサッシ、壁のタイルなどを見つめて、線がゆがんでいないか
□ 新聞や雑誌を30cmぐらい離して、真ん中が見えない、ぼやけるところがないか
□ 方眼紙、原稿用紙、碁盤などの格子上の線を見つめて、線にゆがみがないか
□ 高いビルやタワーを眺めて、一部分がゆがんで見えることがないか

以上を片目ずつ、左右の目を交互に見てください。

ふだん、私たちは左右両方の目で物を見ています。

片方の目に異常があっても、もう片方の目が補ってしまうので、なかなか気づくことができません。

加齢黄斑変性は、左右の目に同時に発症することはほとんどありませんので、必ず片目ずつチェックしましょう。

目の生活習慣病

加齢黄斑変性の原因は、加齢のほかに生活習慣が大きく、「目の生活習慣病」とも言われています。

原因として、喫煙、肥満、太陽光線などがありますが、なかでも喫煙は非常に大きな影響があることが、多くの研究で認められています。

まずは禁煙をすること、その他、バランスのよい食事、適度な運動、日差しが強い季節には帽子、サングラス、日傘などで目を守りましょう。生活習慣の改善により、発症の予防、病気の進行を遅らせることに繋がります。

加齢黄斑変性患者数:公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター

執筆:井上 愛子(保健師、看護師)

<執筆者プロフィール>

井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士
株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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