とにかく叩け。スズキ「燃費偽装」報道にある違和感の正体

 

不正は不正なんだからとにかくダメというのは、いまどきの正論に思えて、実は単なる思考停止とも言える。白黒は、結構な幅のグレー部分を見聞きしてから決めたって何ら遅くはないじゃないか。

逆に、ここで三菱同様にスズキを斬って捨てるのは簡単だけど、それで話が終わってしまえば次に続かないんじゃないのか。このニュース自体を忘れてしまえばまた次の偽装が待っているわけで、その点でもメディアの責務は小さくない。

もちろん自動車メディアは、本来であれば先頭を切って取り組むべき事項の筈。せっかく自動車ジャーナリスト協会なんて団体があるんだから、評論家諸氏は組織として影響力のあるコメントだって可能なんである。少なくとも、この期に及んで「頑張れ三菱!」などと言ってる場合じゃないし。

で、同時にユーザーもまた賢くならなくちゃいけないと思う。メディアからのソースが絶対的に足りない状況ではあるけれど、その触りだけを見て「スズキ終わった」「裏切られた」ではあまりに短絡的だ。ディーゼルは売ってないのにVWの販売が激減するような、事実より雰囲気に流される風潮は相変わらず残念なんである。

クルマを少しでも知っている人は「カタログ燃費なんか最初から信じてないよ」と言う。じゃあ、なぜメーカーはこうした偽装をしてまでコンマ単位の数字にこだわるのか

「新しいプリウスはリッター40キロに届くのか!?」などと燃費競争を煽るメディア、リッター30キロより30.5キロの方が「いいクルマ」とするユーザー。実は世間の大半を占めるのはこっち側であって、メーカーはそれをすっかり見抜いているからなのかもしれない。

image by:  Vytautas Kielaitis / Shutterstock.com

 

週刊くるまーと ~賢く選んで、楽しく運転~
車情報市場「くるまーと」が毎週お届けする、賢いクルマ選択と快適カーライフのための無料メールマガジンです。新車・自動車業界ニュースの他、マイカー採点簿、クイズ、コラムなど。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • とにかく叩け。スズキ「燃費偽装」報道にある違和感の正体
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け