糖尿病にかかって研究を始めた?江部康二×桐山秀樹『糖質制限』対談(1)

 

―――そもそも江部先生が糖質制限食に関して、研究されたり、本を執筆されたりしたきっかけは何だったんですか?

江部:最初は、1999年に私の兄(江部洋一郎氏:現・高雄病院名誉院長)が気付いたのよ。ところが、私を含めた周りの人間はまったく信じず。それでしばらくは塩漬け状態にされていたわけ。

桐山:そうだったんですか。

江部:その2年後ぐらいかな。2001年当時、私の患者さんで重度の糖尿病の方がいたの。血糖値が560で、HbA1cが14.5%という……。

桐山:それはかなりの大物(笑)。

江部:普通の中肉中背のおじさんなんだけどね。即入院させて当初から一日1600kcalというカロリー制限で、食事は玄米菜食とお魚。それで歩け歩けって感じでやってたんだけど、1週間たっても食後血糖値が400を切って来ないし、尿糖も100gだったのがせいぜい70gくらいにしか減らない。

桐山典型的なカロリー制限をされていたんですね。

江部:当初はそうですね。それで、もうどうにもならないんで、モノは試しで兄が前に言ってた糖質制限に基づいた食事に変えてみたら、もうその日から食後血糖値が200を超えることはなくなったし、翌日の尿糖は8g。これにビックリして、“兄貴もたまにはイイことを言うな”と思って(笑)。それからかな、真剣に研究をし始めた。

桐山:そのころに、先生ご自身も糖尿病だってことが発覚したんですよね。

江部:そうそう。幸か不幸か……自分では“幸”だと思っているんやけど。オヤジもお袋も糖尿病だから、サラブレッドの家系だったんだけど……油断してた(笑)。

桐山:そこからは、“どの食物が血糖値を上げる原因になるか”を自分の身体で調べられる日が続いたと。

江部“人体実験”じゃないけど、徹底的に試して調べてみたのよ。果物食べたり、魚食べたり、肉食ったり……。そうしたら、本当に血糖値を上げる原因となるのは糖質だけだってことが、すぐにわかったの。当時はSMBG(血糖自己測定)器も高価だったけど、自分で勝手に調べてた。

桐山:それで上梓されたのが、2005年の『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 糖質制限食のすすめ』(東洋経済新報社)ですよね。

江部:4年ほどはそうやって、自分の体を使って調べてたし、自分の病院の患者さんにも糖質制限を勧めていたから、症例もたまってて。で、これは画期的やってことで、執筆に至ったわけ。

桐山:この『主食を抜けば糖尿病が良くなる』は、“糖尿病の改善”というテーマに絞って書かれたんですよね。

江部:当時から、ダイエットにも効果があるっていうのは明らかだったんだけどね。でも、ダイエットに効く! 糖尿病にも効く! 何にでも効く! ……っていう風にすると、なんだか“胡散臭いトンデモ本”のように思われるから(笑)。だから、それから3年ぐらいしばらくは、糖尿病に絞って書いてたな。その後、徐々に“ダイエットにも効果があるよ”ってことで広げていった。その間にしっかりとした確証も取れたからね。

撮影/岸 巧(中尾写真事務所)

『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』
著者/江部康二
漢方医、糖尿病医として有名な江部康二による美容・健康メルマガ。自ら提唱・実践している、効果バツグンの糖尿病治療法&メタボ対策「糖質制限食療法」に関する話題など、2007年から長期に渡り書き綴られている大人気ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の内容を整理・要約し、適宜最新情報を加筆してお届けする、いわば「進化版徒然日記」です。
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著者/桐山秀樹
糖尿病と診断されたことをきっかけに「糖質制限食」を実践、20kg超におよぶ減量と健康体を取り戻す。メルマガには全国の糖質制限の食事処や隠れ家レストラン、カフェ、健康的な焼肉屋、糖質制限仲間のイベントなどなど、糖質制限ファンなら見逃せないレポートが満載!
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