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なぜこれほどテロが急増しているのか? 知られざるサウジ王室の異変

日本人7名を含む20人が犠牲となったのバングラデシュでのテロを始め、世界各国でテロが相次いでいます。その原因については様々な角度からの検証が続けられていますが、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さんは、これまでISなどのテロ組織をサポートしてきたサウジアラビアが国家破綻に直面していることに起因しているとの私見を展開しています。

なぜこれほどテロが急増しているのか

今週は、多くの方々からご質問を頂戴しましたバングラディッシュのテロにつきまして、問題の本質的要因を含め、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

実はこの1、2ヶ月ほど、世界中でテロが急増しています。日本人7人が犠牲になったバングラデシュの首都ダッカでの人質テロ事件に続き、今週、イラクの首都バグダッドで起きた爆弾テロの死者は200人を超える事態となりました。先月6月12日には、米南部フロリダ州で銃乱射テロ事件、6月28日にはトルコの最大都市イスタンブールの国際空港で銃撃や自爆テロが起き、同じ日にマレーシアでもISが関与する爆発で8人が負傷しました。また、シリアの首都ダマスカス、隣国レバノン、エジプト北東部などでも、ISの関与が疑われるテロが起きています。さらにダッカとバグダッドで大規模なテロが相次ぎ、いずれもISが犯行への関与を主張。

いったい、なぜこれほどテロが急増しているのでしょうか?

その原因を、「ラマダンの機にISが聖戦を呼びかけからだ」「次々と本拠地を失うISが追い詰められたからだ」と、お話しする識者もいらっしゃいますが、僕はこの要因をサウジアラビアにみています

本メールマガジンで何度もお伝えしておりますように、ISはサウジから資金や武器、違法ドラッグの提供を受けていたのは明らかで、サウジの狙いは、表向きは対立するシリアやイランとの「宗教対立」、裏は中東の覇権争い特に王族の既得権の維持)のためにあります。

基本的な対立構造は、ロシアの空爆による中東介入の際に世界中のメディアが報じていたように(関連記事)、ISおよび準ずる組織(ここ大事な点です!)を支援しているのは、トルコ、カタール、サウジアラビア、そして米国の一部の人たち(主には軍産複合体とネオコン)で、今年5月23日、シリア西部の地中海沿岸にある都市ジャブラとタルトスで爆発が相次ぎ多数が死亡した際に、シリア外務省はトルコとカタールとサウジアラビアが和平協議を妨害するため過激派勢力を促したせいだと公式に批判する書簡を国連に送っており、もはや聖戦でも宗教的対立などでもないことは、国際社会で明らかになっています。

しかし、この数ヶ月の間に、テロ組織を支援していたトルコやサウジの異変が起きたように見えます。特に多大な資金を提供していたサウジとテロ組織の間で、なにかしらの「関係性の悪化」が起きたものとみられ、テロ組織の歯止めが効かなくなっているのが現在だと思います。

今週7月4日、サウジアラビア国内で同時多発テロが起きました。西部のイスラム教聖地メディナでは少なくとも4人が死亡、ジッダにある米領事館のすぐ近くでも自爆テロが起きたのです。さらにメッカに次ぐ聖地であり預言者ムハンマドが埋葬されたメディナでもテロが起きました。

CNNの国家安全保障アナリストによれば、ラマダン期間中にシーア派モスクや米施設、聖地を狙った攻撃には、「聖地の守護者」を自認するサウジ王室に恥をかかせる狙いがあった、と報道しており、ISおよび事実上準ずる組織と、サウジアラビア(王室)の間で、「関係性の悪化」があるのは、間違いありません。

宗教を背景にした組織と反社会組織の関係は、決して中東に限ったことではありませんが、その関係を強固にしているのはお金です。現在、世界中で起きているテロの要因は、サウジアラビアが国家破綻に直面していることに起因しているのではないか、と僕は考えています。

次週、サウジアラビアの現在と未来につきまして、お話ししたいと思います

image by: Shutterstock

 

高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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