英EU離脱の17年前に起きていた悲劇。EU統合のため解体された国とは

 

この時期、ヨーロッパは、EU統合によって、共通通貨ユーロ導入へと向かっていて、EU加盟国をハンガリー、ポーランドなどへ拡大している時期だった。ヨーロッパの流れは、1つの独立国としてそれぞれが生きてゆくことを諦め、EUという国家集団になってゆくことを目指していた。

だが、EUとして統合組に入れるのは、西欧主要国のいうことを聞く良い子たちだけである。いうことを聞かない悪い子の代表は、戦争中のユーゴスラビア。だから、悪い子ユーゴスラビアは6つ以上の共和国に解体することになった。

なぜ解体するのかというと、解体したことによって、良い子になってくれる共和国だけを選別してEUに入れてあげるため。最優等生はスロベニア、二番手はクロアチア。3番手以降は劣等生枠。ボスニアヘルツェゴビナ、ボスニアセルビア、マケドニア、そしてユーゴ連邦。最劣等生の悪い子ユーゴスラビア連邦は、セルビア、モンテネグロ、コソボに3分割されることになる。

こんな感じで、良い子と悪い子に区別して、悪い子を孤立させるために、悪い国は分離して一方を良い子とし優遇する。

この流れで、セルビア共和国からコソボ自治州を分離してコソボのみを経済などいろいろな面で優遇し、コソボ自身の意志で独立させる。もともとコソボには独立の意志があったわけだし、この流れは難しいことではない。悪い子セルビアを黙らせればいいだけ。「黙ってたほうが痛い目みないよ」との取り引きで。

EUによる統合をし、ユーゴスラビアを分割するという、逆方向の動きが当時のヨーロッパでは行われていたが、目的は、全てを統合することで、統合する順番を決めるためにユーゴを分割していたのだろうか。

と、いいつつ、英国は離脱を決断したわけで、時代の流行というか、各国の立ち位置を感じさせてくれるね。 

image by: Shutterstock.com

 

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著者/加藤健二郎
建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者、と転身してきてる加藤健二郎の多種多様人脈から飛び出すトーク内容は、発想の転換や新案の役に立てるか。
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