体力の限界。アベノミクスが「失敗」を認めることで得られる活路

 

欧米の問題

欧米でも同様に、サッチャーが始めた新自由主義による規制緩和で市場主義を取る経済活性化の欠点が大きなくなり、その結果が英国EU離脱を招き米国のトランプ大統領候補が出てきたのである。新自由主義での貧富の差が拡大して、富者が1%に対して貧者が99%となり、民主主義で貧者の不満が得票になり、富者の利益代表にNOを突きつけているのだ。

このように、新自由主義の上に、2008年のリーマンショックを乗り越えるために、景気刺激策として金融政策をとってきたが、それが行き詰まり状態になったのが今の時点であり、この先、違う経済社会政策を取らないと、複雑骨折した社会問題を解決できないのである。

もう1つが、米国で量的緩和による資産バブルが大きくなり、それが崩壊の可能性も出てきたようである。FRBが金利を上げたいとしていたのは、資産バブル崩壊の危険を認識していたからであるが、その危険が出てきたようである。

解決策

新自由主義がなぜ、英国でサッチャーが行ったかというと、社会保障政策や国民を保護するための規制が多数あり、それが企業活動を妨げていたからである。規制の根本には国民の保護が有り、それが企業活動にとっては邪魔になっていたから、それを取り、外国企業への規制も緩和したことで英国への投資が増えたのである。

このため、英国ロンドンは欧州の金融ハブとしての地位を確立できたのであるが、これで利益を得るのは、金融の大手企業に就職できるエリートであり、庶民は置いてきぼりにされたのである。

その上に、量的緩和で金融資産、不動産資産の価格上昇で、金持ちだけが得をすることになり、とうとう、英国の庶民が怒って英国のEU離脱になったのである。同様なことが米国でも起こっているので、トランプ氏が共和党の大統領候補になったのだ。

このようなことが、日本でも起きて、量的緩和で、株価は7,000円から一時2万円になり、同様なことが起きているのである。

この解決は、再度、国民の多くが利益や保護を得ることができることであり、新自由主義とは逆な方向になる。その良い例が日本のタクシーでの規制緩和で、タクシー車両台数が大幅に増加して、運転手の手取りが大幅にダウンしたことで、規制を復活している。

このように働く人の立場も考慮した規制緩和を行わないと、貧富の差が広がることになる。働くものを守る規制も必要なのである。

ムダや問題になっていることを解決する規制緩和でも、国民に取り損得を考えて、規制緩和を行わないといけないし、過去の規制で、時代に取り残されることもいけない。ITの利用で、大きく時代は変化しているからである。

解決としては、量的緩和ではなく、少子高齢化、人口減少などの構造改革に寄与する政策を早急に行い、日銀や政府の財政政策を早く止めることができようにする必要がある。

もう1つが、貧富の差を拡大しないように、分配の調整を行う必要がある。富者から税金を取り、貧者に配ることは重要な政策である。これにより、過度な貧富の差が生まれないようにすることである。

それと貧者の仕事でも生活給が稼げるようにしないといけない。国民を15%の富者と85%の貧者に分断すると、民主主義では、貧者の反乱が起きて、富者の利益を損ない、それは国全体の利益も失う事になる。

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