値引きはしないのに業績好調な中小企業3社にある共通点

riou20160813
 

引越会社、印刷会社、飲食店という、市場の縮小や価格競争が激化する業界にあって、大きな値引きを行わないにもかかわらず好業績を上げ続けている企業があります。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、「値引きは悪と考えよ」とした上でその3社が行っているオリジナルな戦略を紹介、さらにそこから学ぶべき「独自価値で戦うための3つのポイント」を提示しています。

【引越業界の場合】差別化より独自化の製品サービス開発 ~愛知県引越一番のおもてなし

自社だけのユニークな強みを提供することは、何も大企業だけに必要なわけではない。弊社のクライアントで、愛知県で頑張る中堅規模の株式会社引越一番という企業がある。

中堅企業である引越一番が、大企業である競合他社の思い切った値下げ価格や、広範囲にわたるサービス網に正面切って挑んでいくことは容易ではない。どうしても値引き合戦になりがちで収益を悪化させてしまうことにつながる。いわゆる「営業利益」が下がるのだ。

さらに、価格を下げるとブランド・マネジメント上重要な「見た目の価値が下がってしまう。戦略なき値引きや低価格に「いいことは少ない」のだ。

引越一番の独自な顧客価値は、「懇切丁寧な引越を提供することにある。大企業の引越しサービスも丁寧なのだろうが、さらにその上を行く配慮をされている点が顧客に支持を得ている。

新築のお宅にはいる時には、それまではいていた靴下を履き替える。それだけにとどまらず、絶対に間違えないように、それまでの靴下と「違う色の靴下にはき変える」ことで、絶対に間違えないように、ヌケモレを防止する努力をされているのだ。

また、不満足度アンケートというものをとっている。お客様が「不満足だ」と感じたことを、翌日の朝礼で全員に通達し、全員で改善に取り組む。それほど、お客様に対しての細部にわたってまで気遣いを欠かさないのだ。

このおもてなしの心で、「また引越一番さんにお願いしたいです」と、お客様からわざわざ電話がかかってくるほどである。

事業の定義をはっきりさせる

引越一番は自社の事業を「運輸業」ではなく「お客様が幸せを感じる本物の引越しを提供することとしている。この細部にわたる気遣いと、丁寧な作業が、「新居に引越した時の幸せ感」につながる。それこそが、他社と比較した場合の、ユニークな顧客価値になる。

こうなると、「価格の安さ」という土俵での競争ではなく、「どれだけいい引越か」でお客様に比べられ、「安い方がいい」という値引き合戦に巻き込まれることなく、まったく別な土俵で戦うことができるのだ。

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