稼ぎはともかく、この職業カーストから言えば最下層は政治家ということになる。確かに、近年の国会を見ると、どことなく掃き溜め感がある。また、第三位と第四位の差はほとんどないようなものだが、私の知人で便利屋から弁護士になった者があるから一応こうしておいた。
これを見ると、子供の憧れの職業が長らくプロスポーツ選手であるというのも頷ける。
前に「稼ぎはともかく」と言ったが、それはカースト第四位の医師や弁護士、第五位の芸能人(芸人)、第七位の政治家が、カースト順位に反して高収入であるという印象に基づいてのことなのだが、実際ピンからキリまでいる、その職業カースト構成員全員の平均を採ったら大したことはないのかもしれない。ほぼ開店休業状態で看板だけ標榜している医師も珍しくないし、弁護士に至っては看板すら出していない者さえいる。芸能人(芸人)の下積み時代の悲惨さは言うまでもなく、政治家もただ単に怪しい政治結社の構成員という可能性だってある(それを政治家と呼ぶかはともかく)。
しかし、第五位の芸能人(芸人)と第七位の政治家に関しては、昨今、所謂二世(つまりは世襲)の存在が気になる。それを、芸能界の場合では「親の七光り」と言い、政界では「地盤、看板、鞄の引き継ぎ」と言う。
日本の職業カーストは、インドのそれとは違い流動性があるからまだ笑えるのであって、僅かでも固定傾向に進めばろくなことにはならない。それでも、芸能人(芸人)の場合はデビューの時から「親の七光り」と言われ続けるだろうし、その中には親より才能がある者も幾人かはいるであろうから、まだ許容はできる。しかし、政治家に関してはそう簡単には割り切れない。権力の固定化は、そのまま直線的に権力の腐敗となる。これは例外なくである。どんな聖人君子であっても、固定された権力に座すれば即ち、腐敗するのである。故に、政治家の世襲に関しては何らかの(少なくとも英国程度の)法的規制が必要であろう。
それにしても、職業カーストの最下位が政治家なのだから、安心して皆こう考えればいい「食い詰めたら政治家になる」と。
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『8人ばなし』
著者/山崎勝義
ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。
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