1つ目は、残された従業員の負担が増えること。当然、従業員の一人が残業を行わなければ、同じ部署の残った人たちに、その負担が回ってきます。彼らの不満をどう解消するかは、大きな問題です。
また、そのような中で、この制度を利用することに引け目を感じたり、あるいは、いじめや差別の対象となってしまい、結局は離職することになる可能性もあります。
そうならないために、この機会に御社でも、全社的な労働時間削減に取り組んでみては如何でしょうか? 全部署で「残業ゼロ」を目指して、業務の一からの見直しを行ってみてはどうでしょう?
問題の2つ目は、残業を行わないことによって、人事考課や評価で低く査定されてしまうことです。キャリアアップをあきらめざるを得なくなることです。
家族の介護を行う従業員の多くは「中高年」です。高い役職についている人も多いでしょう。制度を利用することによって、彼らが降格やこれからの昇進をあきらめなければならない事態になれば、結局、制度利用も進みません。
ここで、御社にご提案です。御社の評価基準を、期間ではなく「時間あたりの業績(成果)」に変更しませんか?
今まで、1ヶ月間の業績、半年や1年間の業績で評価していたと思います。そのような期間あたりの評価では、どうしても、遅くまで残業した人間が有利になります。そうではなく、時間あたりの業績、要は「生産性」の高い人間を評価する制度に変更してください。たとえ、短時間勤務であっても、時間あたりの業績が高ければ、高い評価を与える制度に変えてください。