気がつくと足をガタガタ…。「貧乏ゆすり」はカラダに悪いのか?

2016.09.07
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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ふと気づいたらでている「貧乏ゆすり」。

もしくは「自分はしていないけれど、周りに貧乏ゆすりをする人がいる」という方もいるかもしれません。

どうして貧乏ゆすりをしてしまうのでしょうか?貧乏ゆすりはカラダやココロになにか影響を与えるのでしょうか?
詳しくみていきましょう。

どうして貧乏ゆすりをしてしまうの?

貧乏ゆすりはマナーとしてよくないものとされ、周囲にも不快感を与えます。精神的に不安定な状態、イライラしたり不安になったときに、貧乏ゆすりをしてしまうことがあります。

ストレスがたまっていると、無意識に貧乏ゆすりをしてしまう人は少なくないようです。

このストレスがどのように影響して貧乏ゆすりを引き起こしているのか、はっきりとした原因やメカニズムはいまのところ明らかになっていません。

貧乏ゆすりは身体に悪いの?

貧乏ゆすりが、身体に何らかの悪影響があることを現段階で示したものはありません。貧乏ゆすりを無意識にしてしまう状況は何らかの不安やストレスなど精神的負担がかかっている可能性は考えられます。

無意識に貧乏ゆすりをしてしまうことが多い人は、自分の状況を振り返ると良いかもしれません。

意外!?意識的に行う貧乏ゆすりにメリットが!

「貧乏ゆすりが、健康に効果的である」という話があるそうです。

それは本当でしょうか?

「健康に効果がある」といわれている背景には、「末梢の血行改善するため、冷え性改善効果がある」、「下肢の浮腫解消に効果がある」、「エコノミークラス症候群の予防になる」、「関節症に効果がある」といったことがあると思います。

実際、無意識的な貧乏ゆすりではなく、意識的に行う貧乏ゆすりは、ふくらはぎの筋肉を収縮させ、血行をよくするため冷え性改善や浮腫の解消、エコノミークラス症候群の予防に役立つといわれています。

どれぐらいの時間・回数で効果がある、といったはっきりとした基準はありませんが、ただ座っているのではなく、意識的にふくらはぎを動かすことによって効果がみられる、ということは考えられます。

そういえば、プロテニス選手が試合の合間の休憩時間に水分補給をしながら、足を震わせている光景はよく目にしますね。

しかし、無意識でされる貧乏ゆすりの動きは、ここまでお話したような健康への効果は医学的根拠に乏しいとされています。

「貧乏ゆすり」がうつ病に効果ある!?

 「セロトニンの分泌促進をさせ、うつ病に効果がある」ということを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、貧乏ゆすりがセロトニンという神経伝達物質の分泌を促進させることに関する医学的根拠はなく、詳しいメカニズムは明らかにはなっていません。

そのため、「セロトニン分泌を促進させるのに貧乏ゆすりは効果がある」とは言いにくいのです。

貧乏ゆすりが治療に使われている?

ここまで貧乏ゆすりのメリットについて、いくつかご紹介してきましたが、実は治療として医療の現場で貧乏ゆすりが用いられることをご存知ですか?

貧乏ゆすりは、医療的には「ジグリング」と呼ばれ、一部の病院で変形性股関節症の治療に用いられています。

変形股関節症は、何らかの原因によって股関節を形成する軟骨が変性したり、摩耗(すり減り)する病気で、関節変化へと進行することもあります。そして、軟骨がすり減ることによって、痛みや機能障害が起こります。

この変形性股関節症患者にジグリングを用いることで、保存的治療としての効果があると言われています。

ジグリングの効果は、その動きが関節の可動域を広げ、周辺筋肉のこりをほぐし圧迫された軟骨に隙間をつくることで、軟骨の修復再生につながっているというのです。

ただ、軟骨の再生に関する効果については、人間による研究では明らかにはされていません。変形性股関節症の治療ガイドライン(2016年)においても、現段階ではエビデンスが十分で治療として推奨されるものとは記されていません。

しかし、臨床現場においてジグリングの実践効果がみられた事例もあることから、今後エビデンスが得られれば、治療として用いられる可能性も十分にあります。

この話を聞いて、「ジグリングを試したみたい」と思った方もいるかもしれません。ただ、ジグリングの効果を期待して、貧乏ゆすりを始めようと考えるのであれば、医療機関を受診して治療を受けた上で、正しく行うことが大切です。

マナーが悪いとされている貧乏ゆすり。無意識におこなってしまうものは健康への効果としては、医学的根拠のないものもありますが、意識的におこなう貧乏ゆすりには効果が期待できるものもあります。

もし効果を期待するのでしたら、周りの人々への配慮を忘れずに、正しい方法で実践したいですね。

執筆:井上 愛子(保健師、看護師)

 

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

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