セブンイレブンのドーナツが「そんなに」売れなくてもいい理由

 

クロスセルで売り上げは拡大する

レジ横でコーヒーとの組み合わせでドーナツを販売するといったついで買いを促す手法をクロスセル」といいます。クロスセルにより、商品・サービスの購入者や購入希望者に対して、その商品・サービスに関連する商品・サービスをお勧めすることで買上点数の向上を図ります。

ドーナツを主目的で購買する消費者は多くはないでしょう。単品では販売力がないドーナツだけを売るよりも、単品でも販売力があるコーヒーを購入する顧客についでにドーナツを買ってもらうことを狙ったほうが合理的といえます。相乗効果が高いといえるでしょう。

このクロスセルという手法は「テンション・リダクション」とうい心理効果を応用しています。テンション・リダクションとは、緊張状態が解消されることをいいます。

消費者は緊張状態が解消された状態になると注意力が低下し、商品・サービスを購入することに対する抵抗感が薄まります。消費者は安価な商品・サービスでも一度購入すると(購入すると決めると)、テンション・リダクションの状態になりやすくなります。消費者にテンション・リダクションの状態になってもらうためには、安価な商品・サービスでいいので、とにかく何かを購買してもらうことが大事です。

コンビニを例にした場合、コーヒーを購入すると判断した消費者はテンション・リダクションにより緊張状態が解消されます。ドーナツを購入することに対して抵抗感が薄まり、ついで買いのハードルは低くなります。ドーナツはコーヒーと相性がいいので、従来のついで買いよりも高い効果が見込めます。

コンビニドーナツはじわりじわりと売れていく

コーヒーとドーナツのクロスセルは徐々に浸透してきます。現段階でドーナツが爆発的に売れなくても問題はありません。クロスセルは短期的にも効果がでる手法ですが、長期的にも効果が見込める手法です。ボディーブローのようにじわりじわりと効果が現れていきます。

ついで買いを誘発するクロスセルはコンビニ以外でも活用できる手法です。買上点数の増加により客単価が向上し、売り上げが拡大するでしょう。

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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