秋はいろいろと食べ物が美味しいですが、フルーツだって美味しい季節。秋の味覚を満喫するため口にする人も多いでしょう。
その一方で、果物アレルギー になる人が最近増えています。国立病院機構・相模原病院が行った09~11年の調査で、成人の食物アレルギー原因は、リンゴなどの果物・野菜が48.4%で最多に。
また、2011年に行われた厚生労働省研究班による食物アレルギーの全国調査では、全アレルギー患者の中で、果物アレルギーを新たに発症した患者は4~6歳で16.5%と、第1位です。7~19歳では甲殻類についで2番目に多いことがわかりました。
さらに、花粉症との深い関係も指摘されており、中には「アナフィラキシー・ショック」を引き起こし、深刻な事態を引き起こす場合もあります。どういうことなのか、見ていきましょう。
連鎖的に起こる果物アレルギー
ある日リンゴを食べていたら、口の中や喉の奥がかゆくなった。あまり気にしないでいたら、桃やさくらんぼでも同じような症状が……。
今このように果物で「連鎖的に」アレルギーが発症するケースが増えています。実は、果物や野菜には花粉と似た構造のアレルゲンを持つものが少なくないのです。
例えばシラカバやハンノキの花粉にアレルギー反応を持つ人は、似たアレルゲンを持つリンゴや桃、さくらんぼ、キウイフルーツ、マンゴーなどにアレルギー反応を起こす可能性があります。
同じように、ブタクサの花粉症の人はメロンやスイカ、バナナなどに、イネの花粉症の人は、オレンジやトマトなどに反応することが考えられます。果物だけでなく、セロリやパセリなど一部の野菜でも同様のアレルギーになる場合があるのです。
命に関わるリスクも
一般に果物アレルギーは「口腔(こうくう)アレルギー症候群」と呼ばれています。口の中だけで反応が起き、果物を食べると唇・舌・口の中が腫れたり、かゆくなったりする症状です。
症状は軽い場合が多いですが、中には全身に反応が出て、ぜんそくの発作や重篤なアナフィラキシー・ショックになるケースもあります。
アナフィラキシー・ショックは命にも関わりますので、果物を食べて口の中などに違和感を感じる人は、病院で血液検査や皮膚のアレルギー反応テストを受けるようにしましょう。
口腔アレルギー症候群はここ20年ほどで増えた比較的最近の病気のため、未解明のことも多く、効果的な予防法や治療法は確立していません。対策としては、原因となる果物などの摂取をできる限り避けること、また違和感を感じたときはすぐに吐き出してうがいをするようにしましょう。
ただ果物のアレルゲンは熱に弱いため、多くの場合は加熱処理することで食べられるようになります。ジャムやパイにしたり、ジュースは一度加熱するなどの対策が効果的です。
<参考>
『食物アレルギーの診察の手引き2014』(厚生労働科学研究班)
『増える果物アレルギー 花粉症患者、誘発のリスク』(日本経済新聞)
執筆:Mocosuku編集部
監修:坂本 忍(医学博士)
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記事提供:Mocosuku