日銀はなぜ、円を「生殺し」にしたか? 黒田総裁「現状維持」の本音

 

組織の利害得失

日銀は、円高に対してマイナス金利の深掘りを志向し、財務省は擬似ヘリマネを志向、一方、金融庁はマイナス金利深掘りを阻止に動くことになる。政府と日銀でそれぞれの機関の利害得失が絡んでいる。

日銀は円の信用力を維持する目的で出来た機関であり、円の信用に傷を付けることは、組織目的からもできない。このため、銀行の利益を損なうがマイナス金利深掘りを主張することになる。

金融庁は銀行の安定と預金者保護が目的であり、マイナス金利で、銀行が不安定になり引いては預金者が迷惑することには反対である。

財務省は予算上の国債費の膨張を止めたいという目的があり、擬似ヘリマネを志向することになる。

このため、3者が集まり会議を開くことにして、麻生太郎財務相も言うように、デフレ不況からの脱却と持続的な経済成長の実現に向けて「政府・日銀が緊密に連絡を取っていくということを、より鮮明にしなければいけない」ということである。日銀を説得して擬似ヘリマネを行う方向で、会議をするということのようである。

麻生財務相がいうゼロ金利40年国債を発行して、日銀の手持ち国債と交換することである。これで、予算上の国債費の金利分が大きく減る事になる。もう1つ、買替え国債の発行を減らせるので、国債の消化を容易にできることになる。国債が売れないことでの金利の急上昇もなくなる

財務省がアベノミクスでの予算増額をいとも簡単に了解したのも、擬似ヘリマネができれば、予算編成上、余裕ができるためである。

しかし、この擬似ヘリマネで、どのような反応が世界から出るのかは不明である。1ドル=120円程度の円安で済むのか、1ドル=200円までの超円安になるのかわからないようだ。

さあ、どうなりますか?

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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